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森の奥の謎
官能リレー小説 - SF

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森の奥の謎 7

息子が奇怪な木に飲み込まれては、親としては心配で仕方ないだろうし、悲しくてやりきれないだろう。
二人の辛い気持ちが、ひしひしと伝わってくる。何とかしてやりたいとも思う。
だが、打つ手はあるのだろうか?何か手は打ったのだろうか?
そう思って、エルジェさんの様子が落ち着くのを待って聞いてみた。

「木であるからには、焼き討ちにでもできないのか?ほかにも、男一人につき女性三人くらいで命綱を引っ張って止めたり、別の大木に命綱を繋いでおいたり……」
「実は、あの不気味な木は焼いたほうがいいと決まってね。焼くために、燃え広がらないよう村の者たちであの木の周りの木や草を刈り取っていたのだ。だがあまり近づくと男は誘い込まれてしまうので、外側を刈り取って、内側は女たちが作業している。しかし大木もあるから、女たちの手では時間がかかってな。それに、ただ焼くわけにはいかない事情もある。
それに命綱も、惑わされた男が自分で切ってしまって意味をなさないのだ」
「そういうことでしたか…ところで、女性は近づいても平気なのですか?」
「ああ。どうしたことかあの木は女には興味を示さないのだ。すぐそばまで女が近づいただけでは何もしてこないし、操られたりおかしくなった女もいない」

男だけを狙う謎の木か。俺も研究者として少し興味が出てきた。人を惑わして食らう花など、聞いたことがない。といって、俺が近づいてもおそらく餌食になるだけだろう。だが、もう一つ気になったことがある。ただ焼くわけにいかないってどういうことだろう?

「ところで、木の中に男がふらふらと入ってしまうという事だが、木のうろに入ってしまうのか?艶やかで怪しい花に捕食されてしまうのか?」
「実は、近づいた男を花が捕食してしまうのだ。巨大な花をたくさん、傘のようにぶらさげ、男を吸い込んでは袋をぶら下げたようになる。だからまずはそれを切り落として中の者を救い出す必要がある。だが人の背よりも高い位置に吊り上がってしまうので、女たちも切り落とすのに難渋していてな」
「それは厄介ですな……しかし、それなら伐採すればいいのでは?」

俺が言うと、グイレブ氏はさらに渋い顔になった。

「木の生命力を奪うため、一部の志願した女達が伐採にかかったんだが…幹に攻撃を受けると、蔓や花を振り回して暴れだすのだ。おかげで女達にも怪我人が出たよ。だから花だけまず落として男たちを救助してから、後々の憂いを除くために焼き潰すことになったのだ」
「何とも奇怪で面倒な相手ですな。しかし花を落とすだけでも暴れたりは…?」

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