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森の奥の謎
官能リレー小説 - SF

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森の奥の謎 6

俺はある家にお世話になることになった。がっしりした体格の中年男性と、その奥方と娘さん二人の四人家族だ。
娘さん達のうち姉は二十歳過ぎくらい、妹さんは十五歳くらい。

「わしがグイレブ、こっちは妻のエルジェ。こっちが長女のナミュレ、その横にいるのが次女のミャシュだ。谷沢とか申されたな。狭い家だが、我慢してくれ」
「いえいえ、とんでもないことでございます。泊めていただけるだけでもありがたい次第」

泊めていただく以上、失礼な真似はできない。実際、非常にありがたいことだ。
俺はその気持ちを精一杯込めて答えた。
旦那のグイレブ氏は戦士然とした、眼光鋭い人物で精悍な顔立ちをしている。
横にいる奥方のエルジェさんは、穏やかそうな雰囲気を身にまとった、柔らかい顔立ちの美人で、雰囲気を体現するように胸も立派だ。
娘さん達もよく似た顔立ちの綺麗な娘で、母譲りなのだろう、顔立ちも胸も立派だ。



日が明けて、俺は簡素だが美味な朝飯をいただくと、その部屋に案内してもらった。
夕べ聞いたところでは、このご夫婦の息子さんは、あの木に吸い込まれたそうだ。
壁には槍がいくつかかけてある、相当な使い手らしい。
グイレブ氏は無念そうに語り始めた。

「ここにあるのはわしと息子のジョルブンが使っている武器だ。ジョルブンはわし以上に槍に秀でていたのだが、あの木にでくわしてしまってな」
「それは…お辛いことでしょう。どういう状況だったのか教えていただけますか?」

共に案内してくれたエルジェさんが、憂う顔でグイレブ氏を見つめている。お互いに顔を見合わせると、グイレブ氏はゆっくりと語りだした。

「あの日、ジョルブンは仲間二人とあの木を倒そうとしたのだ。念のため姉妹や親しい女の子を連れてな。ジョルブンはナミュレを連れて行っておった…」
「倒すって…まさか槍でですか?」
「焼くつもりだったのだが、抵抗されんとも限らんから武装していた。
焼く前に仲間を救い出すつもりでジョルブン達は行ったんだよ。だが、ナミュレの目の前で、ジョルブン達男三名はあの木にふらふらと誘われるように入ってしまった。
そのままあの木の艶やかな花が降りてきて、三人とも飲み込んでしまった……あの日、まさにその様を見たナミュレが知らせてくれた時の恐怖に満ちた顔は、忘れられんよ」

心配な様子で、エルジェさんがグイレブ氏を見つめている。見ればグイレブ氏も両拳を握りしめ、震わせていた。
エルジェさんも、嘆きの気持ちもあらわに無念の思いを口にした。

「あの木さえなければ、あの子は今もここにいたのに…」
「エルジェ……」

気遣うように、グイレブ氏がエルジェさんの肩を抱き寄せる。

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