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天才橘博士の珍発明
官能リレー小説 - SF

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天才橘博士の珍発明 4

「まあ…良いじゃない、生きていても残り少ない人生だったし…生まれ変わったと思って新しい人生を始めるって事で」
「でも…もう、元の姿には戻れないのよ。私にとってメイお婆さんは、人生の先輩だったのに、今は娘と歳違いの姿になってしまっている…少し悲しいわ」
「私は平気よ、だって私が子供だった頃は…世の中、こんなに便利な時代では無かったからね…」
「後悔はして無いのね…」

「するも何も、何時でも楽しいとか良かった…と感じる気持ちが大切よ。そう思えば自然と不幸も幸福に変わって行く筈だから…」
「流石は人生の先輩ね…戦後のどん底から立ち上がった日本人魂は伊達じゃないわね。どんなマイナスもプラスに変えてしまう切り替えの良さと、寛大な心は学ばなければならないわね」
「イテテ…」

翔太がようやく起き上がる。

「お…復活したか」
「大丈夫でしたか翔太さん?」
「人を殴る時も、容赦しないから恐ろしいよ姉ちゃんは…」
「まあ…メイさんも許してくれるし、今回は穏便に見といてやる…ただし」

京子は翔太の顔に近付き睨む様な表情で言う。

「メイさんにHな事でもしたら、本当に容赦しないからね」
「うう…わかってるよ。当たり前だろ…」
「10年、いや8年後でもかい?」

翔太の弁解に、メイが割り込む。その顔は面白そうな笑みを浮かべており、明らかに状況を楽しんでいた。

「私は戸籍上の歳からすれば今でも結婚できるのだし、翔太さんもでしょ。あとはこの体さえもう少し育てば……」
「うっ……メイお婆さん……」

思わぬメイの言葉に反論を思いつかず、京子は言葉に詰まった。

「ふふふ、冗談じゃ……じゃけど、京子ちゃん、婆ちゃん呼びはやめてくれないかの?
この姿でそう呼ばれると妙に心が痛む」
「あ…そういうばそうよね。ごめんなさい、メイさん」
「メイちゃんでもいいぞい」
「ぷっ…あははっ」
「はっはっはっ」
「ふふっ、それもいいんじゃない?」

ちくりと刺されて、京子がおとなしくなった。そして最後の一言で、全員が笑い出してしまう。
「ま、仕方ないか。
メイさんには可愛がってもらってたんだし、孝行できる時間を得たと思う事にするわ。
だから時々ここに来ますよ。
翔太が馬鹿やらかさないか、見張りにもね」
「うっ、姉ちゃん…」

物事を受け入れた口調になり、軽く肩をすくめて見せた京子。
ただ最後だけ、翔太にキツい口調で釘を刺して来た。

「ふふっ、面白いことになりそうじゃね」

姉弟を見るメイの眼差しは、祖母のような優しい物だった。

ふと何かを思い出したように、京子が言った。

「メイさん、ご家族にはどう説明するの…?」

翔太もハッとする。メイは子供夫婦と同居しているのだ。どう説明したものか…
ことの重大さに、彼は文字通り頭を抱えた。

「うわあ…どうしよう…」
「仕方ないねえ。私から説明しとくよ。ただ翔太、お前さんは一緒に説明してもらうよ」
「はい…」

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