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セックスワールド
官能リレー小説 - SF

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セックスワールド 6

 さっきまでうちの社内の別室にいたのだから、同僚の誰かとヤッたことになる。俺も、彩園寺さんには何度も会ったことがあるから、多分この世界ではセックスしたことがあるのだろう。
 彩園寺さんと湯谷さんが向かい合わせに座り、俺は横向きに座った。
 「希望は聞いているわ」
 彩園寺さんには、湯谷さんが希望する沿線などもつたえてあったので、それに合わせた候補物件をすでに用意していた。湯谷さんと話して、そのうち2つを内見することになった。
 「それでは、お気をつけて」
 俺はいつもどおりお客さんを彩園寺さんに任せて見送ろうとした。
 「烏野さん、たまにはうちのハウス見に来ませんか?」
 「いいんですか!」
 前の世界では、女性専用だった彼女の会社の物件を男である俺が見に行くことはなかった。

こうもセックスが日常の世界では女性専用物件は意味を成さないのかも知れない。
それに『ヤリ易い』物件っという条件も少し気に成っていたので一緒に付いて行くことにした。

「ええ、住み心地を比べてみるのに男性がいた方が良いですもの。では行きましょうか」
「よろしくお願いします」

彩園寺さんが席を立つとそれに続いて俺と湯谷さんも席を達、彼女が用意した社用車で目的の物件へと移動した。

会社を出て15分ほど走ると目的地に到着した。
最寄りの駅から10分ほどの住宅街にある比較的新しいアパートだった。
このアパートを見た第一印象は、この物件だとお客様の希望の『安い』という条件に当てはまらないのでは?と思った。
普通ならこんなに綺麗で駅近なら家賃はそれなりに高くなる筈だ。
彩園寺さんはなんでこんな物件に案内したんだろう。

「ここが先程紹介した物件になります。全部で4戸、一室に2人づつで入居しており、3号室が現在シェア相手を募集しています」
「わぁ…綺麗なのアパート、悪くないかも」
「では部屋の方を見てみましょう。中でシェア相手が待って居ますよ」
「あっ!あの彩園寺さんちょっと」

彩園寺さんは湯谷さんを連れて進もうとするので、腑に落ち無い俺は少し強引だが彩園寺を引き止め確認をした。

「彩園寺さん、お客様の希望に安いと有りますけどこのアパートで良いんですか。ここどう見ても安い物件じゃ…」
「えっ…ここ発電協力物件ですよ?」
「発電協力…?」
「ちゃんと資料にも書いてあったと思いますけど?」
「えっちょっと待ってくださいね…」

俺は待って来た資料を確認するとちゃんと『特定優遇措置 発電協力物件』と記載されていた。

「あ…ホントだ」
「もう、しっかりしてくださいね。先行ってますよ」

車内で資料を広げてしまったので俺が片付けるのに時間が掛ると彩園寺さんは判断したのか、湯谷さんと先に行ってしまった。
まあ丁度いいや発電協力なんて知らない単語を今のうちに調べてしまおう。
俺は急いでスマホで検索する。
すぐに単語の意味は表示された。
簡単にいうとセックスしまくって性的快楽エネルギーを提供しまくる事で住宅費の一部を補助してくれる制度らしい。
ヤりまくって地域のエネルギー供給に協力するので国が家賃の一部を面倒みてくれる制度という事か。
だから安いのか…。
じゃあ『ヤリ易い』って言うのも。

 彩園寺さんは3号室のチャイムを押した。
 「あいてますよ」
 男の声がした。なんとなくは理解していたが、念の為彩園寺さんの会社のホームページをチェックした。もとの世界ではこの会社は女性専用シェアハウスを売りにしていたのだけど、そのような記述は全くなかった。
 俺はちらりと湯谷さんの顔を見た。ワクワク、という表情。

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