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荒れた星の戦士
官能リレー小説 - SF

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荒れた星の戦士 5

海賊は折り重なるように倒れていた。彼女は彼等が気絶しているのを盾ごしに確認しながら守りを固めている。
オルトンはコンテナからは出てこない、おそらくは気絶しているのかもしれない。
「あんなクローン居たかな…全てを調べたわけじゃないけど」
彼女は海賊を抱えると、手足をテープで縛ってからオルトンの倒れているであろうコンテナの中に押し込んでいく。
入れ替わるように少女に肩を借りて、ビームスタンガンを片手に出てくる。
甲斐甲斐しく面倒をみる様は、一目で主従契約が交わされたと推察できた。
「……っと、ありました。汎用タイプのポッドが一基、入りきらず雑貨コンテナに積み込まれています。確認したところ登録者は……見張り用ID・オルトンです。マスター様」
こっそりと接続した情報端末から、レッドドラゴン内の情報を探っていたフレイヤからの報告があがった。
「使用兵装も予備などが主のようですね、どれも見張りや自衛用の一般品です。……あとで頂いておきましょうか」
何やら不穏な発言があった気もするが、アリックは聞いていないことにした。
「うんうん、マスターちゃんと一緒みたいだねぇ。吹っ飛ばされておじさんが起動したから、あの娘と2人で身を守ったみたいだよぉ?」
オルトンたちは武装や消耗品を背負うと、司令室の方へと撤退していく。
その動きに合わせたのか、ビキニ姿の男たちも続々と船の前方に集結していった。

「……よし、これを好機とみるぞ! ヒルダは俺と一緒に海賊船の制圧だ。フレイヤは消耗品や身の回りの品の確保、マリアは目を付けてたクローンを雑用係として起こせ。……いくぞ!」
「「了解!」」

それぞれが目標に向けて、行動を開始する。
メイドは先ほどのコンテナの残骸に向かい、海賊を念入りに無力化してから必要な荷物を回収する。
多めに積まれた宇宙食やら、リストの水増し分の弾丸やバッテリー。着替えと作り直し用の服も集めた。
ナースも散歩するようにコンテナの山に向かい、汎用タイプのクローン女を起動させていく。
自らの上位個体権限でアクセスし、アリックの遺伝情報を使い仮登録していった。
簡単な命令しか認識できないが、自衛と移動なら問題は無いだろう。
オルトン達は人質になっていた見張りの男達を次々に保護しては集めているらしく、とにかく見張りの男達とはち合わせになる可能性はなくなった。
これによりかなり行動の幅が広がった。
アリック達は船内をあちこち動き回ったが、ビキニ姿の海賊がスタンビームで気絶しているだけで死人や重傷者は出ていないようだった。
その海賊をあの盾を持った女がやったように縛り、一人ずつコンテナに押し込んでいく。
「はっ、しっ、せっやっ!」
大振りな攻撃で押さえ込もうとしてくる男たちに対し、逃げ足を駆使して懐に入り胴体にスタンナックルを当てていく。
動きが止まった相手には、ヒルダによるスタンロッドの一撃がトドメとなった。
海賊船の見張り役を倒すと、船長らしき男が操舵室で仁王立ちをしているのを見つける。
「……どうなさいますか? 私でも無傷での鎮圧は、難しい相手に見えますが」
「強者と戦うなんて馬鹿がすることだ。どうにか船の外――出来るならレッドドラゴンの奥に誘い出して、押し付けてしまえばいい。」
見つからないように細心の注意を払って撤退すると、荷物室でマリアたちと合流した。
汎用クローンたちと本契約を交わして戦力にすると、海賊船の端末にアクセスし外からの無線を装った。
『俺たち……優勢……いい男……女……食料……押し切れっ!』
慎重な奴なら自ら動きはしないだろうが、最終決戦は己の手で勝利を掴みたかったのだろう。
バトルアックス片手に高笑いをあげながら飛び出すと、そのまま司令室に向かって走っていってくれた。

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