PiPi's World 投稿小説

荒れた星の戦士
官能リレー小説 - SF

の最初へ
 2
 4
の最後へ

荒れた星の戦士 4

その情報は艦のカメラをハッキングすることで得ていた。槍のような形の紺色の船が一隻だけすぐ後ろにまで来ている。
こんな状況でも救援は全く来ないようだった、この船の男達は捨て石扱いなのかもしれない。おそらくは彼等もそれを承知でこの船に居るのだろう。
「間違ってはいませんが、少し早計かと。現在地はゼラールのある辺境宙域であり、かの星は自衛戦力しか持っていません。そのため、宇宙商人を狙う海賊どもの巣窟になっているのです。」
ヒルダに続いて、フレイヤが説明を続ける。
「交易路から外れてはいますが、彼らからすれば少しの遠出で獲物が狙えますので。地球勢力としても、増え過ぎない限りは放置していますね。」
2人の話を聞いて、アリックは思った以上に宇宙が広いのだと知った。
「……なるほどな。他に普通の人間が住んでないから、軍も近くを見回ってねぇ。通報したとしても来るまで時間がかかるから、見逃されるのを願って進むしかないのか」
クッション代わりとして少年を抱きしめたマリアが、最後に補足をいれた。
「海賊さんとしてもぉ、見たことの無い船が来たから警戒してるんだねぇ。クローンの情報が漏れてなければ、食料と日用品で見逃してくれそうだよ?」
倉庫の外では見張りたちが走り回っているが、彼女の話通りならコンテナに残った分で交渉する気だろう。
自棄になって突っ込む奴も出るだろうが、こちらは守りを固めて隠れるだけだ。
強そうな名でありながら武装していないレッドドラゴンはあっさりと海賊船と連結させられてしまう。

遠くでオルトンがうろついているのが見えた。銃器を探しているらしいが、彼のリボルバーはこちらが持っているので見つかるはずもない。
彼は「いつかは見つかるだろう」と自分の銃を探すのを後回しにしていたのだ。いくら暇な見回りとはいえ、海賊が来てから慌てて探しだしても遅すぎる。
うろたえているオルトンにリボルバーをこっそり投げ渡してやるか迷うが、そんな暇はなかった。
たちまち屈強な男達がオルトンを囲む。
しかし、オルトンの体格も負けているわけではない。一対一なら互角だ、相手の人数が多すぎたのだ。
海賊の男達はどういうわけか既にきわどいビキニ姿だった。宇宙船でこの格好は自殺行為としか思えないのだが、とにかく何か目的があってそんな格好らしい。

「なんでこんなきわどいコスチュームなんだろう。筋肉を見せたいのかな」
「そうではないと思いますよ」
アリックの言葉にフレイヤが突っ込みを入れた。
そうして覗き見ていると、オルトンが徐々に壁際へと押されていった。
ビームナイフで捌いてはいたのだが、多少の傷は気にせず攻められては効果が薄かった。
「なんでわざわざ傷を焼いてるんだ?」
普通の刃物を使えば出血でのダメージも狙えるのでは。とアリックがふと漏らすと。
「密閉された宇宙船内において、血飛沫は病疫発生の温床になりますので」
ビーム兵器による止血や、スタン兵器による無力化が常識なのです。とヒルダが教える。
手元のリボルバーの弾薬も、殺傷用の炸裂式ビーム弾と制圧用のスタン弾がバレットベルトに並んでいた。
やがて息のあがったオルトンは、海賊に吹き飛ばされて雑貨用のコンテナの1つに突っ込む。
舌なめずりをしてコンテナを囲む男らに、見捨てるのはいささか気分が良くないと少年らが腰を浮かせた時。

ヒュ〜ン……カッ!! ピシュゥン、チュゥン!

コンテナから投げ捨てられた閃光音響手榴弾が爆発し、動きの止まった海賊らにビームスタンガンが次々と命中していった。
続いてコンテナに開いた穴を塞ぐように、ライオットシールドを構えた茶髪ソバカスのクローンが現れる。

SNSでこの小説を紹介

SFの他のリレー小説

こちらから小説を探す