PiPi's World 投稿小説

荒れた星の戦士
官能リレー小説 - SF

の最初へ
 1
 3
の最後へ

荒れた星の戦士 3

座ってウイスキーを飲むオルトンはすぐに顔が赤くなり、フラフラとし始めた。右手の特殊なリボルバーを何度も落としそうになる。
「危ない…あれは俺が持ってないとヤバイな」
船内用の特殊な弾丸なので撃っても船に穴が開くようなことはない、だが人に当たれば当然死ぬ。アリックはオルトンの手からリボルバーを奪い取った。
そのついでにコンテナの中にオルトンを引きずり込み、彼の装備を奪って裸にした。
「マスター。おそらくは彼が我々のことを覚えて無いようにされたいのでは、と愚考しますが……流石に素っ裸では色々と怪しまれるのでは?」
ヒルダの言葉に頷きながら、流石に裸は不味いか……と考えるアリック。
「こちらを着せておきましょう、マスター様」
またもやフレイヤがいつの間にか用意した一般的な男性服を着せると、オルトンと酒瓶を離れたコンテナの陰に寝かせておく。
違和感は完全に消せないだろうが、これで体調を崩すことなく酔っ払ってもらえるだろう。
宇宙において死体からの疫病は逃れえぬ死の1つになる。
俺はただ幸せになりたいのであり、国相手に戦争なんて御免だからな。

適当なクローンのコンテナを、ラベルを張り替えたり内装を変えたりして管理人用特別品に偽装する。
今まで使ってた方は食料などを積み込み目立たないように偽装して、アリックたちのレッドドラゴン内での秘密基地として利用した。
「お疲れ様です、マスターちゃん。フレイヤちゃんが飲み物用意してくれてるから、お姉ちゃんと休憩しよっか〜?」
小さなコンテナの上には様々な宇宙食が並んでいた。
元々待遇の悪いこの船にはまともな食事はないらしく、ゼリーの塊のような物や板チョコのような物ばかりだった。
アリックは潜んでいる間にそれらのいくつかを食べていたので別に驚きはしない。
しかし、フレイヤの用意した飲み物だけは見たことがなかった。
「シャンパン風のシードルがありましたので、飲みやすくさせて頂きました。おツマミの方も、食べやすくしてからお出ししますね。」
一口飲むと、林檎の爽やかさとハーブの香りが鼻を抜けた。炭酸が弾けると、仄かな甘さが後をひく。
スラムでも別々なら存在したそれらが、1つとなって高めあっていた。
目の前に並んでいた宇宙食は、フレイヤの手で姿を変えていく。
固めのビスケットの上には砕いたゼリーが盛られ、ビリリとしたソースが雑多な味を上手く纏め上げていた。
板チョコのような固い主菜は一口大に割られ、ミルクで炊かれたような穀物と共に皿に盛られて出てきた。
ほんのりと温かな食事は安心感を与え、それを作ったフレイヤに笑顔で礼を伝えられた。
「正直驚いたけど、今まで食ったなかで最高の食事だった。ありがとうな、フレイヤ」
それに対し深く一礼して応えると、口許に微笑みを浮かべている。
腹を満たして人心地につくと、マリアのふんわりとした身体に包まれていた。
「大丈夫ですよぉ。周囲はヒルダちゃんが警戒してくれてるから、マスターちゃんはのんびりしようねぇ?」
緊張が解けて湧いてきた眠気のまま、生まれて初めて安心して温もりに身を任せた。

少年が3人と共に隠れ住むようになって数日。見張りたちは些細な違和感など気にせず、形だけの仕事をこなし続けていた。
偶然とはいえ高級クローンを3人も掠め取った為、これ以上はバレる可能性が高いので大人しくしていたからだろう。
レッドドラゴンがゼラールに着けば、荷降ろしに紛れて2〜3人は引き抜けるかもしれない。
「辺境の兵も練度が低いのならば、チャンスはあるでしょう。何しろ初めての試みですので、管理もまだ確立されてはいないかと」
ヒルダの意見としても、無理をしなければ可能性はあると考えてるらしい。
それまではこの平穏を堪能しよう。アリックはそう思うと、フレイヤの膝の上で目を閉じた。
そろそろ昼ご飯の準備のためにメイドが少年を起こそうとすると、困ったような顔のマリアがやって来た。
「えっとね、どうやらこの船。海賊さんに見つかっちゃったかも……」

SNSでこの小説を紹介

SFの他のリレー小説

こちらから小説を探す