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荒れた星の戦士
官能リレー小説 - SF

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荒れた星の戦士 2

少年の名前はアリック、彼のすぐそばを見回りの兵士が通っていく。アリックはその見回りがどうにかならないかと漠然と考えていた。
こうも長くうろつかれては見つかるのは時間の問題だ。
この船はろくに人員が居ない筈である、船の操縦すらも危うい人数なのだ。
それなのに倉庫内の見回りが中々居なくならない。
彼には知ることの出来ない話だが、レッドドラゴンは型が古いとはいえ自動航行装置が組み込まれている。
小型である為に必要な作業も簡易化されていて、人員のほとんどがクローンの入ったコンテナの見張り役だったのだ。

アリックはいつ見つかるかと戦々恐々としながら時間が過ぎるのを待った。
しかし見回りの人数が変わらないと分かるや、息を潜めてコンテナの奥へと身を隠すことにしたのだ。
彼の潜り込んだコンテナの積荷は偶然にもクローン女であり、さらには幸運にも自衛・護衛タイプの特別品である。
凛々しくもグラマーなクローンの姿に目を奪われたアリックは、もっと近くで見ようと装置に手をついた。
『所有者登録開始――遺伝子認証完了 bQ0001起動』
寒々しい白煙が広がり、目を開けたクローン女は目の前の主人に跪く。
「おはようございます、マスター。ご命令を頂けますか?」
突然の事態に頭が真っ白になったアリックだが、持ち前の生き汚さとズル賢さを発揮し彼女にどうにか命令した。
「俺を守れ。仲間を増やせ。船を奪い取れ! あと……いっぱい気持ち良くして欲しい……」

乗組員というよりは屈強な山賊のような雰囲気の見張りの男がコンテナからあがる白煙に気づき、近寄る。
オルトンという名のその男は、その煙がどういうものなのかを知らなかった。積み荷に関しては全く知識がなかったのだ。
オルトンだけではない。見張りの男達は寄せ集めのようなもので、積み荷がなんなのかすら知らない者すら居た。
「ひぃ〜っ、寒くて堪らねえだ。冷凍もんでも入ってたんか?」
オルトンが無防備にコンテナの中を覗き込もうとした時だ。
中から伸びた腕に引きずり込まれ、一瞬で意識が落とされた。
「……状況終了。周辺の索敵を続行します、マスター」
アリックが目覚めさせたクローン女は全身にピッタリと張り付いた戦闘服に着替え、所々を機械的なプロテクターで守っている。
彼女の収められていた生体ポッドの向かい側。小型のロッカーの中に、観賞用及び戦闘用の装備として入っていた。
民間用に殺傷力の落とされたスタンロッドも腰に差し、いつでも敵対者を制圧できるように備えている。
「おぅ、ありがとう。お前の名前は……ヒルダ。勝利をもたらす、ヒルダだ。」
肉感的な身体に赤みがかった金髪が美しい凛々しい顔立ちの美女を見て、アリックはスラムの教会で聞いた神話の戦乙女の名前を与えた。
「固有名称を登録――完了。マスターは、ヒルダがお守りします」
名前を与えられたクローン女――ヒルダは、見惚れるような美しい笑顔を浮かべた。

とりあえずの安全を確保したアリックは、カウンセリング用催眠機能搭載型と書かれたポッドと各種家事機能搭載メイド型と書かれたポッドを、次々と起動させた。
『所有者登録開始――遺伝子認証完了 bQ0101/bR0001 起動』
彼らの隠れているコンテナには「管理人用特別品在中」「丁寧に運べ!」などと貼り付けられていた。
「お前らの名前は……メイドがフレイヤ、看護士はマリアな」
目覚めた少女らに聖女と女神の名を与えると、それぞれにピッタリとした制服を与える。
青みがかった黒髪のメイドは恭しく、明るい茶髪のナースは朗らかな笑顔で受け取った。
「固有名称――フレイヤ。いく久しく、お側にお仕えいたします。マスター様」
「は〜い、固有名称――マリア。マスターちゃんが元気に過ごせるように、頑張りますね!」
さっそくマリアに催眠による記憶操作を命令すると、オルトンの耳元で蕩ける声で囁きだした。
「おじさんはぁ、見回り中にお酒を見つけましたぁ。嬉しくて飲んでたらぁ、眠っちゃったよぉ?」
いつの間にかウィスキーを用意したフレイヤが、器具を使ってオルトンの口から注ぎいれる。

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