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荒れた星の戦士
官能リレー小説 - SF

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荒れた星の戦士 20

「御主人様、これ渡しとくで」
芹菜が手にした何かを渡す。
オルトンの手に乗せられた物は、数粒の豆にしか見えない。
「なんだこれ?大豆か?」
「見た目は大豆みたいやけど、これは護身用の生物兵器なんよ」
「護身用の生物兵器?」
「ジリゆうんがいきなり発火したやろ?あれかてバイオ燃料を絞る豆を改変してちっこい焼夷弾にしたもん撃ちこんだったんや。人ひとりくらい、ゆうに焼き殺せる火力や」
「マジかよ」
オルトンはやや半信半疑気味に聞いているが、芹菜は構わず説明を続ける。
「投げつけたったり、指やパチンコではじいたったり、どっかに仕掛けたりできるんよ。護身用に持っとって」
「ああ。で、これが全部、その焼夷弾なのか?」
芹菜は豆の一つを指さした。
「よう見て。こっちは真ん中が赤っぽいやろ」
「おう」
オルトンがまじまじと豆を見つめる。
「これがその焼夷弾。その隣の緑のは、蔓になって相手に絡みついて縛り上げるんよ。放っといたらそのまま体内の栄養を吸われてもうて死ぬで」
「怖い代物だな」
「こっちの黄色いんは、当たると深々と刺さって相手の臓器から養分を吸って、一気に死なせてまう。どれもいざって時には役立つはずや」
「ありがてえ。さすが芹菜だ」
「御主人様のためやねんから、これくらい当たり前やて」
オルトンはふと気づいて芹菜に聞いた。
「船長に当たったのはどれだ?」
「緑や。今頃、船長は栄養を吸われはじめてると思うで」
「そっか。それは放置してたら死んじまうんじゃないか?助けないとまずいだろ」
「そうかもしれへんな。なんや?あの海賊船長が心配なんか?うちらの敵やんか」
「それでも…なぁ」
「甘いわあ。でも、そういう所が好きや」
にこにこしながら芹菜が頷いている。
かと思えば真顔になった。
「でも、助けた後どないする?」
「そこなんだよなあ」
聞かれたオルトンが頭を掻く。
「助けたとしても、また暴れ出すんは明らかやで。悪い事は言わへん。こればかりは辞めときなはれ」
「そうかもしれんなあ…」
「あの時かて、逃げるんが精一杯やったんや」
オルトンの脳裏に、芹菜が咄嗟の奇襲で逃げる隙を作ってくれたあの時の情景が、ありありと浮かぶ。
「せっかくお前が逃がしてくれたんだからなあ」

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