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ワイルド7
官能リレー小説 - SF

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ワイルド7 66

「アルベルト・レイスを知っているか?」
「レイスの前頭首だな‥‥何度かやり合ったが、良い男だ‥‥」
「うむ、良い男だ‥‥奴の一言には惑星一個の価値があるとまで言われた、信義を守る海賊の中の海賊だ‥‥」
「確か‥‥この近海で死んだと聞いたが‥‥」
「うむ、その話しをする前に昔話に付き合ってもらうぞ‥‥」
「時間は有り余っておる‥‥話すがいい‥‥」
キングは深く皺の刻まれた顔を上に上げ、古風な灰皿に煙草を押し付ける。そして虚空を見つめ、その脳裏から過去を引き出すように大きく紫煙を吐き出したのだ。

「俺には妹がいた‥‥こんな兄と違いマトモな生き方を望んだのだが‥‥よりにもよって海賊なんかに惚れやがった‥‥そして2人は愛し合い、妹は身ごもった‥‥それが25年程前の話しだ」
再び煙草に火を点けるキング‥‥ベオウルフは静かにキングの表情を読もうとでもするように凝視する。
「だが、男は人生の岐路に立っていて、妹は自分の存在が男の選択の妨げになる事を恐れ、俺の所に戻ってきて娘を生んだ‥‥だが難産でな、娘は無事生まれたのだが‥‥妹は助からなかった‥‥」

「男は娘を引き取りたがっていたが‥‥俺は娘に普通の生活を送らしてやりたかった‥‥だから俺は娘をジルバに預けたのさ」
「それが貴様とアルベルトの縁か‥‥」
「ああ、そうだ‥‥奴は俺が惚れ、妹も惚れた男だ‥‥5年前の奴の死の謎が、このレースの中にヒントがあるとすれば‥‥出ない訳にはいかんだろう‥‥」
「5年前、予選首位だった男が、本戦で事故死‥‥あれはやはりアルベルト・レイスであったか‥‥」
「奴もこのレースに何かを見た‥‥そして、あの用心深い男の事故死‥‥今までずっと引っかかっていた事だ‥‥」

「我はもう一つ引っかかることがあるがな。アルベルトの娘は今どこにいるのだ?まだジルバに所にいるのか?」
ベオウルフは出されたコーヒーを飲みながらレオンを見る。
「いや…私が海賊から足を払った後…五大宙域を統べる者らが『フィフスクロス』と呼ばれているのは知っているな?」
「ああ…我にも情報の類ははいってきておる…」
キングは葉巻に火を付けると、一息ついてから、再び話を始めた…
「その『フィフスクロス』の中にレイス一家というものがおる…その長は娘を連れた女海賊だと聞く…」

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