ワイルド7 51
「妻やとぉ?!?」
「嘘・・・・」
「あの、俺達の中で最も奥手だったジェシーが結婚!!?」
「ひどい驚きようだな。実は・・・・・」
(5分経過)
「なるほどなぁ。それなら納得。」
虎吉はなんども頷いていた。
「結婚式には私たちも出席するわ。ちょうど大物捕まえて、休暇を取ろうって話になってたし。」
「驚くなよ。カズはもうB級だし、俺達ももうC級なんだぜ。」
マーカスは胸を張って、C級のバッジを見せる。
「俺もB級に上がったんだけど。」
「ま、まじかよ。驚かしてやろうと思ったのによ。」
そこに、2人の男女が帰って来た。
先ほど話にでていたカズとアリオンだ。
カズは人間にかなりに似ているが、いわゆる炭素生命ではなく、ケイ素生命だ。つまり異星人。
アリオンはアテナによく似たアンドロイドだ。
「ジェシーじゃないか。久しぶりだな。」
「本当ですね。」
2人が混ざってさらに談笑は楽しくなると思われた矢先、ジェシー達旧友が最も会いたくない人物が現れた。
「やぁ、落ちこぼれ諸君。久しぶりだねぇ。」
「ゾド・・・」
趣味の悪い緑のスーツを着た男が嫌見な笑顔を浮かべてこっちやってくる。
「誰ですか?」
マリーがジェシーに聞くと、ジェシーはマリーを後ろに隠した。
「研修の同級生。ベルグリスの軍上層部に父親がいるからって、昔からやりたい放題。女たらしで有名な奴なのよ。当然、私たちとも犬猿の仲。」
ジェシーの代わりにレイラが答えた。
「おや、そちらの美しいお嬢さんはどちら様かな?いけませんねぇ。汚らしい二重人格者なんぞとなれ合っていてわ。」
流石のマリーもこれにはムッとして、「私はこの人の妻です。」と、若干キツめの口調で返した。
ゾドはいやな顔したが、またすぐ嫌味な笑顔を作る。
「今度のハワード・ランの優勝者は、まぁ僕で決まりだね。父上に頼んで、最新型の戦闘機を軍から借りてもらうからねぇ。ま、観戦してるといいよ。」
「悪いけど、優勝は俺達の所の船長だよ。」
ゾドの背中にジェシーは言ってやった。
「相変わらずだな。」
「ホンマにけったくそ悪いわ。噛みついたろか?」
「止めとけ、悪趣味が移るぞ。」
フロアに笑いがこぼれた。
「じゃあ、俺達はこれで。用が有ったら俺の携帯に電話してくれ。」
「ああ、俺達もしばらくこの星にいるからな。」
そう言ってジェシー達は旧友と別れた。
同じ頃ルドリアタワー、カーマイン・ハワードオフィス…トントン…「入れ…」「失礼いたします御曹司…」入ってきたのは二人の部下を連れたラスティル・セロであった…「なんだ…お前か」「実は…これをご覧下さい…」そういうとセロは小型ホログラフを部下に出させた…「このルートは…ハワーズ・ランのコースか?」「ええ御曹司…実はこちらを…」セロは映像をコンピュータ処理したものに切り替えた…「ステルス機か?」「はい…この他にも各所に罠が…」「いま大至急で対策に当たらせていますが…」「御曹司…中止しますか?」「いや…もう二ヶ月を切っているからな…よし、大会の運営本部に皆を集めろ…」「はっ」(不穏の影はこんな所にまで…)