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過去の世界へ
官能リレー小説 - SF

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過去の世界へ 10

「カラオケ…」

 カラオケは、嫌いじゃない。僕の生きた時代にもカラオケはある。
が、今この状況で2014年の歌を思い出せるか、と思うと、微妙だ。
 これはあったかな、と入れようとすると、それは翌年の曲だった、ということも有り得る。

「ヒロトォ、大丈夫かぁ〜カラオケ行けるかぁ〜」
「あぁ、ちょっと、微妙だ…」

 僕は、外山にそう応えた。

「お前がぁ〜来ないとぉ〜3対3じゃなくなって、解散になってしまうかもしれないぞぉ」

 外山は、多少声を落として、そう言った。
 酔っていても、そのくらいの幹事としての責任感があるようだった。

美雪と三原さんが、
「じゃあ〜、私たちのおっぱいで〜、ヒロトの〜酔いを醒ましてあげよう〜。」
「ちょっと。うぷっ。」
2人は酔っぱらいながら僕に4つのおっぱいを押し付けてくる。
中村さんは何が楽しいのかよくわからないけど全力で笑っていた。
「あははははは〜!!」

いやよく見ると中村さんは、明らかに無理矢理笑うしかないというくらいの大笑いで、うっすら涙を溜めている様にも見えた。
そして自分の平坦なバストを見比べ溜め息混じりに、小さく『畜生』と呟いた様にも見える。
よせばいいのに僕と同じ事を察した外山は、その辺を茶化して中村さんにべちべちとひっぱたかれている。
彼にしてみれば憎まれ役となって膿を出そうという意図なのだろう。
そこへ三原さんにパシらされ、人数分の酔い止めドリンクを買ってきた大森がマァマァとなだめている。

さっき三原さんに諭されただけで大森は随分と丸くなっていた。
下手に優秀過ぎた奴だけに、彼の周りで真っ向から物申せる人間は殆どいなかったのだろう。

 酔い止めのドリンクを一気に飲んで、僕は多少落ち着いた。
 2014年に歌っていた曲も、なんとなく思い出してきた。

「なあ、ヒロト、聞いたかぁ?あのロボット。“シュガー”?」

 外山は歩きながらそう言った。

「おお」
「19万8千円なんてちょっと前のパソコン並みの価格であれが手に入るなんてすげえなあ〜」

 ヤツが狂喜乱舞したのは、元の歴史では、このあとカラオケの代わりに行った男だけの反省会でだった。
 女子もいる状況なので、多少頭の中で妄想したことは抑えた様子だった。

 ところで、僕が、今日を発表日だと覚えていたのは、特別に記憶力が良かったわけではなく、
あの会社のショップで「今日は“シュガー”の何歳の誕生日です!」というキャンペーンをやっていて(これはあの時代では驚くことではないが)“シュガー”の進化版がビラを配っていたのを、たまたまタイムスリップする数日前に見ていたからである。
 

 特に待つこともなく、僕たち6人はカラオケボックスに入った。
 僕は美雪の隣に座った。

 電目を持つ前に、僕は思い出した曲名が、現時点で存在しているか、スマホで検索して確認していた。
美雪たちと楽しく歌を歌ったあと、僕はトイレに行く途中大きい声が聞こえた。
「あんまりしつこいと警察を呼びますよ!!私、付き合ってる人がいるの!!」
「付き合ってるって。嘘だろ?だ、誰なんだ?その男は?」
(アイドルの虹野ゆみちゃんだ!!この男は誰だ?ゆみちゃんのマネージャーか?)
そしてゆみちゃんは僕を見るなり腕を組んてきた。
「この人よ!!」

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