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過去の世界へ
官能リレー小説 - SF

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過去の世界へ 9

「おい!遅れて来てスポーツマン的さわやか〜?で誤魔化すな!寧ろ武道家こそ尚更時間厳守だろ?」
「いえいえ古事記によればッ!文武両道に出来る男こそあえて一般人との差を…」
「ミヤモトマサシでも気取ってんのか!ザッケンナオラー!スッゾコラー!」
「アッ?ハイ!すみません…。」
「お前親から教わったろ?礼儀守れないと棒で叩かれて村八で、天狗の国に連れてかれるぞって…」

いい方にも歴史は傾いていた、ここまでサムライ大森の天狗の鼻をヘシ折る技前な女性はいなかった(大森ざまあ)。

カラテというよりヤクザっぽい風格と豊満なバストを持った三原さんの陰から、チョコンと可愛いらしく奥ゆかしくドーモと顔を出す女子大生は美雪であった。
え…美雪…何で美雪…とリアリティなショックに陥りながら、彼女との昨日の会話を思い出す。

僕は思い出した、昨夜の会話で美雪は外山に卒業後の就職どうこうで相談があると。
当の美雪は浮気の類という自覚もなく、反対に僕がこうした合コンへ参加する事を咎めだてするでもなく、小動物のようにイノセントな瞳をパチクリしていた。
三原さんが大森にどうこう説教してる間、僕は外山に耳打ちして問い正す。

「おいこら外山さっぱり事情がわからん、どういう事だ説明しやがれ。」
「いやお前、大体は美雪ちゃんから聞いてるだろ、なんかそんな感じの飲み会。」

美雪と外山の微妙な共通点、何となしで誰もが全部理解してくれる筈だという楽観論。
だから元の歴史で美雪は本人自覚ゼロでヤリマン呼ばわりされ、チャラい外山は生真面目な女の尻に敷かれながらも年貢の納め所に納まった。
そうだ僕の大学時代大半はこの二人に振り回されていた。

僕が美雪と別れた後は本当に色々と面倒で、外山は陰ながら僕らの力になってくれていたらしい。

僕と別れた後の美雪と付き合って短期間で別れた上に、彼女をヤリマン呼ばわりした大森に外山が食ってかかりブン殴ったそうだ。
実際の所、陰湿な大森は敢えて外山に殴られ正当防衛だとニヤニヤしながら竹刀で外山を叩きのめしている所、クレー射撃のサンダンジューとかいう鉄砲を持った女が止めに入ったらしい。
多分それが中村さんで、外山と付き合い後に結婚する切っ掛け、駄目だもう予想がつかない。

僕が美雪とヤッて疲れて中村さんと会話どころじゃなく、既に歴史は順を追った箇条書きで説明がつかない程に変化しているんだ。
昨日の外山との会話で一字一句いや秒単位が元の歴史と食い違っただけで、こうして合コンの面子が完全に入れ替わっている。

『かんぱーい!』

学割アリの居酒屋で生中のジョッキが打ち鳴らされる、この新たな歴史が悪いとも言い切れない。
本来僕の選択肢ひとつでこういう歴史もあったかも知れない。
件の修羅場がなくても真面目(でバストが平坦)な中村さんはチャラい外山と凸凹コンビで仲が良い。
外山が彼女と結婚出来るかどうかは別として、やかましくも楽しそうな関係は微笑ましい。

何よりまさかサムライ思想を勘違いした陰湿な優等生、大森が想像もつかない程に謙虚な姿勢で三原さんのお説教に瞳を潤ませているのが驚きだ。
変にプライドの高い彼が女子にここまで奥ゆかしい態度を取る姿は寧ろ可愛らしい、外山と同じく案外悪くない奴という再発見だ。
ただし彼はバストが豊満な女性には目がないらしく、美雪と三原さんと豊満なバストを見比べている。

しばらく、居酒屋でお酒を飲みながらくだらない話してみんなで楽しんでいた。
「うー。頭が痛い。飲みすぎてクラクラする。」
俺が右手でおでこを触ってると美雪と三原さんが僕に絡んできた。
「もう、酔ったの〜、このあとみんなでカラオケに行くのに〜。」

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