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過去の世界へ
官能リレー小説 - SF

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過去の世界へ 3

 僕たちは歩き始めた。
 このとき、手をつないでいたんだっけ…たぶんそうだろう、最初のセックスは済ませているのだし。
 僕は、右手を差し出した。自然に手をつないだ。

「ねえ、あれ、持ってる?」
「あれ、って?」
「もう…ほら…ゴム…」

 美雪は、最後には消え入りそうな小さな声で言った。

「ええと…どうだったかな……買っていこう」

 僕たちは、斜め前にあったコンビニに入った。

 さて、買うものは買うのだが…実は、元の歴史では、僕は美雪と、このあと比較的短い期間で別れてしまうのだ。
 あのとき、僕は、まだ若かったから。

別れようと言ってきたのは美雪の方だったと思う。
理由を聞いても何も答えてくれずにそのまま自然消滅した。
いろいろ考えてうちに・・。
美雪の家
「絶対に泊まって行ってよね。途中で帰らないでよ。」
「ああ。分かったよ。」(しっかり釘を刺された。僕とやる気マンマンだな。)
 そうこうしているうちに、美雪の独り暮らしの部屋に着いた。
 この部屋は、残念ながら、数えるほどしか来ていないのだが、うっすらとは覚えていた。
 飲み物が出てきたあと、美雪は

「じゃあ…シャワー浴びてくるね」

 と言って、曇りガラスの向こうに消えていった。

 僕は、飲み物を飲みながら、改めてこれからのことを考えた。
 タイムスリップのとき、僕は“彼女たちを取り戻したいと思ったことはある”と思った。
 それに立ち返るなら、まずは、美雪と別れるのを可能な限り先のばしすることが、やるべきことなのだろうか…
フロから上がってきた美雪に聞いてみることにした。
「ふー。お待たせ。」
「なあ、僕に隠してること何かないのか?」
「な、なに。突然どおしたの?」
昔から美雪は隠し事が下手だった。
「まあ、ちょっと気になって。」(やっぱり何か隠してる。分かりやすいな美雪は。)

ただし実際問題、元2014年の僕なら薄々気づきながらも『まあいいか』と気に留めてなかった事だ。
彼女は自身の隠し事ばかりか僕に対する不満も、色々と溜め込んでしまう傾向があったのではないだろうか。
美雪と別れた後に社会人となった頃、ふと落ち着いてそんな事を思い悩む事もあったものだ。

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