処女搾乳物語〜their daily life〜 127
美帆にしてみれば絶体絶命の状況で秀憲に会えて心底安心していたときにコレである。言葉にもトゲが出てきてしまう。
「なっ!?そ、そんな事言ったって本当のことなんだから知らないわよっ!!大体ゲームセンターの時だって偶然だったんだからっ!!」
嘘である。しかしここまできて引き下がれない。
「素直に『やきもち焼いてストーキングしてました』って言いなさいよっ!」
リーナもすでにマジきれモードと突入寸前だ。
「なによぉ!リーナだって今日一日秀憲君といちゃついてたのに私の事言えるわけぇ!?いくらご令嬢だからって調子乗りすぎじゃない!?」
「なぁっ!?美帆っ!!あんたこそただの乳奴だったくせに!!誰のおかげで今こんな良い暮らしが出来ると思ってるのよ!?」
言ってはいけない禁句である。それは決して言ってはいけなかった。その言葉は決定的な亀裂を生み出す。
美帆の瞳から涙が一筋零れる。悲しみの涙ではない。あまりの感情の昂ぶりのせいで涙が出てきたのだ。
…頭の中が真っ白になる。自覚する間もないまま、美帆は腕を振りかぶっていた。
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バチーンッ!!!
激しく肉のぶつかる音。
呆然と目を見開いていたリーナの目の前に…秀憲の腕があった。秀憲の掌に美帆の拳が納まっている。
「やめろ…」
いつもの秀憲からは想像もつかない声。それは深い哀しみに満ちた声だった。
「やめてくれ。そんなことで争う妻達なんか見たくない…」
「秀憲…」
「あ、あ、あたし…何を…」
美帆も今の状況をわかっていなかった。頭が真っ白になってからの記憶が無い。
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「リーナ」
「な、何?」
「確かに俺達は今はとてもよい待遇だし、ここに連れて来られたことに対しては何も悪くは思ってない。…でもね、やっぱりリーナ。あんなことは言っちゃいけないよ?」
秀憲の芯を貫くような視線と声。
「ごめん…なさい…」
俯くリーナ。自分の言ったことの重大さがようやく分かったようだ。
「んっ、分かればいいよ。」
リーナをぎゅっと抱きしめる。