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宇宙戦艦
官能リレー小説 - SF

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宇宙戦艦 4


映画館へ向かうミーナと真田は注目の的となった。
それもその筈、この艦内で女はミーナとリリナしかいない訳で、その内の1人である、若いミーナガ男と連れだって歩いているのだ。
当然のことながら、真田に向かい嫉妬混じりの妬みの視線が集まるのも無理はなかった。

山崎「誰だあの若造は?」
整備班の山崎が面白く無さそうに眉を顰めた。
伊藤「真田進。あの若さで戦闘班長を務めるエリートですよ。」
山崎「真田進か・・面白くねーな・・」


チケット売り場に並ぶ真田はいきなり肩を掴まれた。
続いて股間に入れられた膝蹴りで、その場に崩れ落ちた。
真田「ぅ・・・」
掠れた声を絞り出す真田。
戦闘班長とはいえそれは戦闘機でのことで、ましては不意をついた意気なりの金蹴りでは、かわしようがなかったのだ。

伊藤「はは!いいザマだぜ!色男が台なしだな。」

真田は股間を押え、その男でしか分からない痛みと戦っていた。

山崎「これで懲りたら、もう2度とミーナに手出しすんじゃねーぞ!」
そう言う山崎は、ブーツの先で、思いっきり真田の尻を蹴飛ばした。

その様子を、物陰から見ていたのは、航海班長の、古代大介だった。
止めに入ることも、できた。
しかし、いきり立った2人の男を相手にするより、古代は別の方向に考えを向けた。


「船長、実は、このような出来事が…」

 船長室の入室を許可された古代は、40代の割に白髪混じり、白が混じった髭の、かなり体格のいい船長、沖田五十六に向けて、さっき見た出来事を説明した。
 船長は、ゆっくりと答えた。

「…このようなことは、ある程度予想していた…わしは、同じ宇宙戦艦なら、21世紀になってリメイクされた版のようにある程度女性を多数乗艦させるべき、と主張したのだが…上層部はよほどオリジナルが頭にあるようだ…」
「船長、古典オタクだったのですか?」

 21世紀に生きる我々が、平安時代の「源氏物語」や「枕草子」を古典として、どんな話なのかおぼろげながら知っているのと同じように、31世紀に生きるこの艦の乗組員は、20世紀や21世紀の有名なアニメを古典として、どんな話なのかおぼろげながら知っている。
 しかし、派生作品にまで細かく言及できる人は「古典オタク」と呼ばれる。

「その通りだ…わしは、友人の医師に、地球出発前に、このような事態に対するいくつかのアイディアを、考えてもらった」

 船長が大スクリーンに向かって合図を送ると、タイトルが並んだハイパーテキストが表示された。

「ええ…『乗組員の性欲をほぼゼロにする成分を艦内の空気に混ぜる』『乗組員の性的志向を同性に向かわせる電波を艦内に照射する』…うーん、それはあまりやりたくないですね…」
「そうだ。あまり取りたくない選択肢ばかりの中で、これが、もっとも、犠牲者が少ないと思われる」

「『女性乗組員の性欲を極限まで高める薬を飲ませる』」


「女性乗組員って、ミーナとリリナですか?」
古代は訝し気に眉を顰めた。

「さよう、この艦隊の女性乗組員はあの2人しかおらんからな・・」
船長が大スクリーンを見つめたままに、低く呟く。

「しかし、ミーナとリリナの性欲を極限まで高めたところで、この艦隊の男性乗組員は100を優に超えています。
今回問題を起こした山崎や伊藤のように女に飢えた輩総てと関係を持たせることは、危険過ぎるのでは?」

とは言ったものの、この艦内で女に飢えていない者などいないことは、古代自身一番分かっていた。
立場上、妄想ルームこそは使用はしなかったが、古代とて健康な若者、同室の嶋大介が寝静まるのはみては、自慰行為に耽るは常だったのだ。

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