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キモデブ洗脳戦艦
官能リレー小説 - SF

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キモデブ洗脳戦艦 3


階段を降りた先には更に通路が伸びていた。
どんどん奥へと進んで行くマジデ。
登ったり降りたり曲がったりを繰り返し、もう自分が一体どこにいるのかも解らなくなった頃、かなり広い薄暗い部屋に辿り着いた。
「何だここ?大型船のブリッジみたいだな…」
マジデは窓に歩み寄り、外を見てみる…。
「!?…これって…軍艦じゃねえか!?」
窓の外もやはり薄暗いが、眼下に船の舳先と並んだ砲塔が見えた。
どうやらマジデは軍艦の艦橋に居るらしい。
「すげえ!!…でも何で警察署の地下にこんな物が…?」
マジデは不思議に思いながらも、何気なく近くにあった椅子に腰掛けた。
ブリッジの中央…いかにも艦長が座る席といった所だ。
すると…
『ピピピ…指紋、声紋、虹彩、照合中…』
ヴゥーン…という起動音がして、周りの計器や装置が動き出した。
「な…何だ何だぁ!?」
『…でーたニ一致。確認終了シマシタ』
マジデの目の前にウィンドウが表示された。
そこには一昔前の宇宙軍の軍服に身を包んだマジデに瓜二つの男の写真と、彼の官姓名が記されていた。
【エルデ帝星宇宙軍特殊工作部隊フォン・トニー・ヤンナルーネ少尉】
(…コイツ見覚えあるぞ。確か俺の爺さんの兄貴…。写真でしか知らねえが、確か50年以上前に事故か何かで死んだはず…)
『ますたー、ゴ命令ヲ…』
「…ひょっとしてこの軍艦、人違いしてやがるのか…!?」
マジデは少し考えた。
そして尋ねた。
「お前は何だ?何が出来る?」
『私ハ洗脳工作艦B‐612号ノ制御AI。私ハ特殊ナ催眠波ヲ用イテ任意ノ人間ヲ意ノママニ操ル事ガ出来マス』
「意のままに!?誰でもか!?」
『ハイ』
「何でそんな艦が警察署の地下なんかに…?」
『50年前ノ“事故”後、宇宙警察ニ接収サレ、ソレカラ今日マデ待機シテイマス』
「事故って何だ?」
『ピー…ガガガ…めもりーニ欠落アリ。詳細不明』
「……」

マジデが生まれる前、惑星エルデでは革命が起きた。
革命前のエルデは銀河連邦にも加盟していない軍事独裁政国家だったが、それが打ち倒されて現在の民主共和制の政権に変わったのである。
現政権は常備軍を置かず、旧帝星軍が所持していた宇宙艦艇は全て銀河連邦の公安組織である宇宙警察が管理していた。

「…細かい事情は良く解らねえが…」
マジデは言った。
「…つまり俺は凄え力を手に入れたって事だな!!」
『肯定シマス』
そう、この艦を使って、例えば、国の首相を洗脳すれば…宇宙に無数のファンを抱えるアイドルを洗脳すれば…膨大な財力を持つ資産家を洗脳すれば…大抵のことは思うようになる。
「ついに俺にも運が向いて来たって訳だ!!コイツさえあれば俺は王にだってなれる!!宇宙中の美女を集めてハーレムだって作れる!!」
『肯定シマス…ガ、ソノ意義ガ不明』
「うるせえ!!男のロマンだ!!機械のお前には解らねえよ!お前は黙って俺の命令に従ってれば良いんだ!」
『了解。ゴ命令ヲ、ますたー』
「ようし!!じゃあまずはこの暗い所から出るぞ!!」
『了解。警察ノ管理ねっとわーくニあくせす……ねっとわーくヘノ接続ヲ拒否サレマシタ。地下どっくノ扉ヲ開ケマセン』
「……さっそく役に立たねえな、お前…」
『提案、本艦ノ主砲デ扉ヲ破壊スレバ脱出ハ可能』
「そ…そんな事して大丈夫なのかよ!?」
『心配無用デス。本艦ノ艦体ハ宇宙艦艇同士ノ砲撃戦ニモ耐エラレ…』
「いやお前じゃねえよ!大砲ぶっ放したりして、もし近くに人がいたら死んじゃうだろ!?言っとくけど俺、人死にだけはパスだぜ!?特に美女が死ぬのはな!」
『了解。生命探知システム作動……現在主砲射線上ニ生命反応無シ。撃テマス』
「よし!じゃあ撃て!」
『了解。主砲、発射』

 ズドゴオオオォォォォォォンッ!!!!!

次の瞬間、マジデの視界は閃光に覆われた。
「ぬおおぉぉぉぉっ!!!?」
何が何だか分からなかったが、次第に目が慣れて来る。
目の前の分厚い鋼鉄のドックの扉がドロドロに融解していた。
「すんげえええぇぇぇぇぇぇっ!!!!」
マジデは興奮して鼻息を荒げ、右手で行く先を指差して叫ぶ。
「…ようし!発進!!」
『了解、エンジン始動…発進シマス』

 ゴゴゴゴゴゴ…

マジデを乗せた軍艦は地下ドックから出て浮上を開始した。
驚いたのは地上の人々である。
「キャアァァ〜ッ!!?」
「な…何だアレは!?」
「戦艦だぁ!!宇宙警察の地下から戦艦が出て来たぞぉ!!」
一方、マジデは慌てふためく人々をモニターで見ていた。
「グフフヘヘヘ…慌ててる慌ててる…」

だがこの異常事態に宇宙警察も黙ってはいない。
すぐさま十数台のパトロール艇(パトカーの宇宙船版)が出動し、マジデの戦艦を取り囲んだ。
拡声器から怒鳴り声がする。
『犯人に告ぐ!!どうやってその戦艦を動かした!?すぐに出て来い!!さもなくば銀河連邦治安維持法規に則って攻撃する!!』

「攻撃だと?…ハッ!あいつら貧弱なレーザー銃しか無いパトロール艇ごときで戦艦に勝つ気かよ!」
マジデは戦艦に命じた。
「撃ち落とせ!!」
『了解シマシタ、ますたー』

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