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キモデブ洗脳戦艦
官能リレー小説 - SF

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キモデブ洗脳戦艦 2

会場に設置された大型ディスプレイに次々とオークションに掛けられた品々が表示され、落札されていく。
今表示されたいるのは民生用宇宙船。それもマジデが使っているのと同じ型だ。
出品の為にきれいに整備されたいるが、持ち主に乱暴に扱われていたのかはっきり言っておんぼろだ。
参加者からも「ありゃスクラップに回した方がいいんじゃないか。」などと声が上がっていた。
マジデの愛車も中古ショップで買った型落ち品。同じくらいボロだったかもしれない。
「(そう考えると何か似たように思えてくるな…そう、あの傷とかも…)」
その時案内をしていた警察官がくるりと振り向きこう言った。
「今ちょうどオークションに掛けられているのがヤンナルーネさん。貴方の車です。」

この言葉にマジデはしばし呆然となった後、烈火のごとく怒り出した。
「ちょ、ォま、待てよコラ!!なんで俺の愛車が売られてんだ!!罰金なら払ったろ!!」
「はい、確かに今回の駐禁分の罰金は頂戴しましたが…」
「じゃあどうして…っ!!?」
「余罪が明らかになりました」
「よ…余罪?」
「はい」
すると警官はタブレットのような物を取り出して読み上げ始めた。
「マジデ・ヤンナルーネさん、あなたは過去に駐禁を21回、信号無視を53回、スピード違反を138回、犯していますね」
「そ…そんな事わかるかよ!テキトー抜かすな!」
「分かります。銀河連邦交通法規に基づき全ての宇宙船に搭載されているメモリーパックに全て記録されていますから」
「グブゥッ!!?」
「…なお、我々はあなたの現在の財政状況から、あなたにはこれら全ての違反行為の罰金を払う能力は無いと判断させていただき、法規に則り、あなたの所有する船舶を競売に賭け、支払いの足しにさせていただきました」
「そ…そんな…!?」
あまりにも理不尽(自業自得?)な仕打ちにマジデは言葉も無い。
「では私はこれで…」
そう言うと警官は踵を返して去って行った。


「……」
一人残されたマジデは暫く茫然としていたが、次第に怒りが湧いて来た。
(な…何だよ!?意味が分からねえぞ!!確かに俺には金が無え!!でもだからって持ち主である俺の許可も無く勝手に競売にかけるなんて酷いじゃねえか!!しかも何で警察が俺の財政状況とか把握してんだよ!!プライバシーの侵害だ!!ちくしょうっ!!法の犬どもめ!!権力をカサに着て何でもアリだ!!違反行為だって誰に迷惑かけた訳でもないのに(※かけてます)!!そんなにしてまで金が欲しいのかよ!!…そうだ!!世間には金持ちもいっぱいいるのに!!俺みたいな貧乏人に因縁つけて金を巻き上げるなんて!!やつらヤ●ザと同じだ!!ちくしょうっ!!許せねぇ!!世の中おかしい!!復讐してやりてぇ!!こんな世の中ぶち壊してやりてえ!!)

マジデの腹の中はムラムラと煮えくり返っていた。
もともと理性より感情の方が圧倒的に上回っているタイプの人間である。
加えて社会経験と人付き合いの乏しさが、このマジデという男の非常に幼児性の強い人格を形作っていた。
もう彼は自分の非は完全に棚に上げて、怒りのベクトルを社会の仕組みや世の中の不条理へと向けている。
「くそっ!!面白くねえ!こうなったらここに保管されてる宇宙船、一隻ぐらいパクって逃げてやろうかな…」
…とはいえそれを実行に移すほどマジデも馬鹿ではない。
もっともそれは、そんな事をすればたちまち捕まってブタ箱入りになるのは目に見えているからであって、別に良識や良心の咎めがある訳ではない。
手段さえあれば彼は自分の思うまま、どんな事でも平気でするだろう。
そう、手段さえあれば…。

マジデは仕方無く家へ帰ろうとした……その時である。
“…感…ジル…”
「…あ?いま誰か何か言ったか?」
“…感ジル…ますたート同ジ波動…強イ想イ…強烈ナ情念…感ジル…”
その声はまるで頭の中に直接話し掛けて来るようだった。
「な…何だぁ!?まさか…幽霊!?」
“…ズット…ズット…オ帰リヲオ待チシテオリマシタ…ますたー…”
するとマジデの目の前の電子ロック付きの自動扉がひとりでに開いた。
「うわっ!?」
そこには地下へと向かう階段が続いている。
「お…降りろって事かよ…」

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