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ハーレム宇宙戦艦
官能リレー小説 - SF

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ハーレム宇宙戦艦 7

「な…っ!?」
「恐らく目的はマーズナイトかと…」

“マーズナイト”とは21世紀中頃に発見された火星でしか採掘されない希少鉱物で、燃焼させると僅かな量で膨大なエネルギーを生み出し、しかも有害物質は出さないという非常に都合の良い物質である。
既に枯渇しかけていた石油に代わり、新たなエネルギー源として地球でも重宝されていたが、火星との国交が断絶して10年…今や地球にあった大量の備蓄分は底を尽きつつあり、マーズナイトに頼っていた地球の産業界は窮地に追いやられていた。
そこに付け入る形で、禁を破って密輸を行う者が後を絶たなかった…。

「な…なるほど、それで通商が禁じられているはずの火星付近を航行していた訳か…」
話を聞いたカナメは納得する。
クリスは通信士に命じた。
「銀河丸に繋いでちょうだい」
「了解!回線を繋ぎます」
モニターに先程の船長の顔が映し出された。
『こちら銀河丸。あのぉ…それで方針は決まりましたか?』
「その前にお聞きしたい事があります。貴船の目的をお教え願いたいのですが…」
『な…何故そんな事が知りたいのですか?』
「現在、地球政府は火星との国交を断絶しています。その火星のすぐ近くを地球籍の船が航行していたのですから、その目的を知りたく思うのは当然ではありませんか?」
もっともな理由のクリスの問い掛けに『銀河丸』の船長はあたふたしながら答えた。
『わ、我々は・・・その・・・つまりですね・・・め、冥王星・・・そう!冥王星の観測基地へ物資と食料を届けに行こうとしてたんですよ!それが、この船は見ての通りのボロ船でしてね、それで計器が故障して位置座標の測定を間違え、誤って火星の領域に入ってしまったのです!』
それに対してアレクサンドラが冷静につっこむ。
「…現在の太陽系内の各惑星の位置関係から言って、地球から冥王星へ行くのに火星の領域付近を通過する事は間違っても有り得ません…明らかに火星を目指していたと考えるのが普通かと…」
クリスは船長に言った。
「…という意見が出ていますけど、どうなんですか?…あぁ、出来れば積み荷の方も確認させていただきたいのですが…」
『チッ…!』
船長は舌打ちすると急に通信を切った。
「あらあら…ついに尻尾を出したわねぇ…」
その時、レーダー席に座った女兵士が告げた。
「民間船、本艦から離れていきます…あっ!いま本艦に向けて何か発射しました!これは…小型ミサイルです!迎撃不可能!」

ズズ〜ンッ!!!!

次の瞬間、艦体が激しく揺れた。
ミサイルが命中したのだ。
この時代、民間船でも身を守るために必要最低限ではあるが武装している場合があった。
ましてや密輸船なら尚更だ。
クリスは急いで確認する。
「被害は!?」
「損傷は極めて軽微!艦の外壁が傷付いた程度です!」
「威力の弱い小型ミサイルで助かったわ…でも抵抗してくれた方がこっちもやりやすいってものよ」
「民間船!全速力で逃げて行きます!」
「逃がすもんですか…砲術長!全砲門を民間船に向け一斉射撃!」
「もぉ〜!どうなっても知りませんからねぇ!?…第一、第二、第三主砲塔、民間船に照準…発射ぁ!!」

ズドドドドドオオォォォォォォ〜〜ンッ!!!!

またもや9門の主砲が一斉に火を噴き、哀れなる密輸船・銀河丸は一瞬にして宇宙の藻屑と化したのであった。

「こ…これで本当に良かったのかなぁ…?」
成り行きとはいえ自分がとんでもない陰謀に加わってしまった事に頭を抱えるカナメ…そんな彼にクリスは言った。
「大丈夫!あとはリリウムの乗組員3333名全員が黙ってれば済む話よ♪」
「絶対無理でしょう!!!!」
そんなカナメのツッコミを華麗にスルーしたクリスは、先程からブリッジの片隅で体育座りで丸まってうなだれているカワサキに目をやって言った。
「さて…次はマリちゃんをどうするかねぇ…これだけの事をやらかしたんですもの…本来なら銃殺刑でも生温い所だわ」
茫然自失としていたカワサキだったが“銃殺”と聞いた一瞬だけビクッと身を強ばらせた。
アイーシャは言う。
「し…しかし艦長、この件自体を無かった事にするならカワサキ副長に罰を与えては筋が通りませんよね…?」
「そうなのよねぇ…かと言って“お咎め無し”って訳にもいかないし……そうだ!精神錯乱のため一時隔離なんてどうかしら?これなら合法的にマリちゃんを重営倉にブチ込めるし…私ったら冴えてる〜♪」
「さすがです、艦長」
こう言ったのはアレクサンドラ。
そして憲兵隊が呼ばれた。

数分後、銃を携えた憲兵達がブリッジに現れた(一般の将兵とは制服が異なるが、やはり全員が若い女性だ)。
憲兵は艦の規模に応じて一定数が乗り込んでおり、艦内の治安維持が任務である(もっとも主な仕事はケンカの仲裁や落とし物の管理など地味な仕事が多いのだが…)。
彼女達を率いているのは大柄な美女…いかにも軍人らしいキビキビとした動作の彼女の名はゲルダ・シュタイン法務少佐。
戦艦リリウムの憲兵達のトップである。
「マリ・カワサキ中佐殿!!身柄を拘束させていただきます!!失礼!!」
「うぅ…」
カワサキ副長は手錠を掛けられ、力無く連行されていった…。

それを見届けたクリスは「これで良し…」とつぶやく。
…その時、レーダー担当の女兵士がハッと気付いて叫んだ。
「艦長ぉ!!二時の方向に複数の艦影あり!」
「何ですって!?火星軍の艦?」
「はい!マルス級駆逐艦2隻!アレース級巡洋艦1隻!まっすぐ本艦に向かって来ます!」
「ど…どうしますか!?艦長!」
「戦いますか!?」
「艦長!!」
ブリッジの全員の視線がクリスに集まる。

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