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ハーレム宇宙戦艦
官能リレー小説 - SF

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ハーレム宇宙戦艦 1

「あの艦(ふね)かぁ…」
時は西暦21XX年、宇宙軍港に停泊中の一隻の宇宙戦艦を一人の青年が感慨深げに見つめていた。
青年と言っても顔立ちにはまだ少年の面影を残している…いや、むしろ女性と見紛うような優しげで整った目鼻立ちだ。
真新しい宇宙軍の制服には少尉の階級章が輝いている。
彼の名はカナメ・ヤマモト。
先日、士官学校を卒業して今日が初勤務の新人少尉である。
「まさかいきなり戦艦に配属されるなんてラッキーだったなぁ〜。さっそく艦長に着任の挨拶に行こう」
カナメは希望に胸を踊らせながらその戦艦『リリウム』の搭乗口へと向かった。

「おい!そこの少尉!待て!」
「は…はい!何でしょうか!?」
艦長室へと向かう途中、カナメは大声で呼び止められて慌てて振り向く。
そこには一人の女性士官の姿があった。
階級章を見ると中佐で、カナメは慌てて敬礼する。
「貴様ぁ!何だその格好は!?ふざけているのか!?」
女中佐は年の頃20代半ばといった所で、眼鏡を掛けた知的な印象の美人だったが、何故かメチャクチャ怒っている。
カナメは何が彼女の気に障ったのかサッパリ分からなかった。
格好がどうとか言ったが、別に軍服を着崩したりなどは一切していない。
中佐はカナメの顔を睨みながら覗き込んで尋ねた。
「ふむ…見かけん顔だな。貴様、名は何と言う?」
「は…はい!自分は本日付けで戦艦リリウムに配属されました、カナメ・ヤマモト少尉であります!これから艦長に着任のご報告を…」
「ヤマモト!?すると貴様が新しく来ると聞いていた少尉か!なぜ男の制服など着用している!?ナメてるのか!?」
「えぇ!?じ…自分に女性用の制服を着ろとおっしゃるのですか!?」
「当然だ!!確かにこの艦は“あまり乗組員の自由を制限したくない”という艦長の寛大な方針により他の艦よりやや風紀は緩めだが、一応は地球連合宇宙軍に所属する軍艦だ!最低限の規律は守ってもらわねば困る!!」
「いや、規律と言われましても…」
「言い訳など聞きたくない!!とにかく来い!そんなふざけた格好で艦長に会わせる訳にはいかん!私の服を貸してやるから有り難く思え!この大馬鹿者め!!」

カナメは中佐に襟首を引っ付かまれて連行された。
どこへ行くのかと思っていたら、士官用の居住区画にある彼女の個室に連れ込まれたのだった。
「これを着ろ!」
室内を見回し、意外と殺風景な部屋だなぁ…などと思っていると、中佐は真新しい女性士官用の制服一式を突き付けて来た。
「私は外に出ているからな!一分で着替えろ!良いな!?」
それだけ言うと中佐は部屋を出た。
「参ったなぁ…」
カナメは渡された女性用制服を見つめながら溜め息混じりにつぶやいた。
しょっちゅう女に間違えられる自分が嫌で、男らしくなりたくて軍隊に入ったのに、その軍隊で何故か解らないが女装を強要されている…。
「一体どうしてこんな…?ひょっとして物凄い女尊男卑の風潮が強い艦なのか…?そう言えば妙に女性の乗組員が多かったなぁ…」
艦内に足を踏み入れてからここに来るまで、すれ違った乗組員の全員が女性だった。
「取りあえず着替えよう。じゃないと中佐殿に怒鳴られちゃうからね」
戦艦リリウムが女性ばかりな事が気になるカナメだったが、着替えなかったらあの怖い中佐にどんな処罰を下されるか解らないので急いで女性士官用の制服に着替え直した。
「はあ〜憎らしい位に似合うよな…」
女性士官用の制服に着替えたカナメは余りに似合う自分の姿を恨みがましく見つめていた。
「ちゃんと着替えたようだな」
「はっハイ!」
そこへ、あの怖い女中佐が戻ってきてカナメは萎縮しながらも敬礼をする。
「次は艦長に会いに行くぞ。ついて来い!」
「まっ待ってください!?」
なぜ自分が女性用の制服を着なければならないのかカナメは中佐に訊ねようとする。
しかし、女中佐はそれに気づかず強引にカナメの袖を引っ張り艦長室に向かった。
「イタタッ!!」
「我慢しろ!この程度で悲鳴をあげるとは貴様それでも軍人か!」
「も…申し訳ありません、中佐殿…」
強引に袖を引っ張られ思わず叫ぶカナメであったが、女中佐に一括され萎縮してしまう。
(まさか…この人、僕を女だと思ってるんじゃないだろうな?もし男だってバレたらどうなるんだろう?)
向こうの勘違いとはいえ、男とバレたら自分はどんな目にあうのか想像してカナメは怖くなり怯えた。

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