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ハーレム宇宙戦艦
官能リレー小説 - SF

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ハーレム宇宙戦艦 6

そう言いながらもアレクサンドラは(彼女にしては珍しい事に)手先がカタカタと震えている。
カワサキ副長は高らかに宣言した。
「航海長の言う通りだ!正義は我らにあった!」
その時、通信席に座った女兵士が告げた。
「民間船より入電!」
「何だ?…あぁ、我々への感謝の言葉に決まっているか…ハッハッハッハッ!」
民間船の船長と思しき船長帽をかぶった中年男性の顔がモニターに映し出された。
『こちらは地球籍の貨客船、銀河丸です!貴艦は地球の軍艦ですか!?』
「いかにも!本艦は地球連合宇宙軍所属の戦艦リリウムです!」
カワサキ副長は得意満面といった顔で堂々と宣言した…ところが、次に船長の口を突いて出た言葉に、皆は耳を疑った。
『なぜ火星艦を撃沈してしまったのですか!?』
「はあ!?何を言うのです!火星艦に拉致されそうになっていた貴船を助けるために私達は…!」
『拉致ですって!?とんでもない!本船は誤って火星の領域内に侵入してしまい、それでパトロール中の火星軍に逮捕され、取り調べのために火星の軍港まで曳航される途中だったのですよ!』
「な…っ!!?」
つまり地球船の方が先に領域侵犯し、火星艦はそれに対して正規の対応を取っていただけだったのだ。
それをよりにもよって撃沈してしまったのである。
「・・・・・・!!!!」
勝手な勘違いでとんでもない大失態をやらかしてしまったカワサキ副長は絶句している。
いや、他のクルー達も同様だ。
誰も言葉が無かった・・・。

ようやく砲術長アイーシャが口を開いた。
「なあ、どうする?この状況・・・」
誰に対して言った訳でもないが、航海長アレクサンドラが答えて言う。
「と、とりあえず事の子細を艦長に報告して指示を仰ぎましょう。正直、事が重大すぎて私達では判断しかねます・・・」
「・・・だな。よし、私が艦長を呼んで来る。その間お前達は副長を頼む」
「解りました・・・と言っても大して警戒の必要は無さそうですがね」
「・・・・・・」
副長マリ・カワサキ中佐は茫然自失状態でその場にへたり込んでいた。
『あ、あのぉ〜・・・本船はどうすれば良いでしょうか・・・?』
民間船の船長は恐る恐るといった様子で尋ねる。
すかさずアレクサンドラが答えた。
「貴船は本件の重要な証人です。この場に留まってください」
『で、ですよねぇ〜…アハハハハハ……ハァ…』

艦長を呼びに行ったアイーシャは艦長室の扉をノックして開けた。
「砲術長アイーシャ・ディヤナ少佐、入ります!艦長、エラい事になりましたよ!一大事で……あ…」
「「あ…」」
彼女は見てしまった。
ベッドの中、裸で抱き合い睦み合っているクリスとカナメの姿を…。
お互いに目が合い、一瞬、時が止まった。
「し…失礼いたしましたぁ!!」
 バタァーンッ!
我に返ったアイーシャは慌てて扉を閉める。
「ディヤナ少佐…ノックして返事を待たずにドアを開けるなんて感心ならないわね。誰しもプライバシーという物があるのよ。ましてや私は現在非番です。そしてこの艦は“一応”艦内恋愛は禁じていないから、必然的にこういう事も起こり得るのよ」
中からクリスが咎めるように言うが、その口調は特に怒っている風ではなかった。
「も…申し訳ございませんでした艦長殿!以後、気を付けます!(一緒に居たの…あれ新任のヤマモトとかいう少尉だよな…う〜ん…まさか二人がそういう関係だったとは…)」

一方、カナメは不安に震えていた。
(み…見られちゃったよ…僕が男だってバレなかったかなぁ…?)
そんな内心を察してか、クリスは服を着ながら言う。
「そんなに心配しなくても大丈夫よ。ドアからベッドへの角度と私達の体位から推測して結合部は見えていなかったはずよ」
「そうでしょうか…」
「ええ。それにしてもあのアイーシャがあんなに血相を変えて慌ててるなんて珍しいわね…何があったのかしら…?」

やがて、しっかりと軍服軍帽に身を包んだクリスがブリッジに姿を現した。
「あ…艦長!」
「艦長ぉ!」
それまで何となく不安げだったクルー達の視線が一斉にクリスに集中する。
まだ問題が解決した訳でもないのに、クリスの姿を見て安堵の表情を浮かべる者も…。
(何だかんだで人望あるんだなぁ、この人…)
クリスの後に付いて一緒にブリッジに来て、そんな様子を見たカナメは素直に感心した。

「…なるほどね。大体の事は解ったわ…」
クルー達から事情を聞いたクリスは腕組みをして何やら考え込んでいるような素振りをしていたが、やがて顔を上げて宣言した。
「…では、民間船を撃沈しましょう!」
「「「……っ!!!?」」」
皆は一瞬、言葉の意味が解らなかった。
「あ…あのぉ…艦長殿?失礼ですが、ちゃんと脳で考えてお話しいただきたいのですが…」
恐る恐る進言するアイーシャにクリスは言う。
「あら、私は至って正気よアイーシャ。…火星艦は本艦の砲撃によってではなく、何らかの事故によって爆破四散した…証人であるあの民間船さえ消せば、そういう筋書きも可能じゃないかしら?あるいは火星艦が民間船を撃沈し、そこに居合わせた本艦が火星艦を撃沈した…なんてのも良いかもね…いずれにせよこのままでは本艦の乗組員全員が重い処罰を受ける事になる…そうなってもアナタは良いの?」
「い…いやしかし、そのために何の罪も無い民間船を沈めるんですか…?」
そこへアレクサンドラが口を開く。
「あの民間船は密輸船です。いまデータベースにアクセスして調べてみましたが“銀河丸”という船名の地球籍の貨客船は存在していませんでした」

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