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ハーレム宇宙戦艦
官能リレー小説 - SF

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ハーレム宇宙戦艦 12


「あれ?あそこに居るの艦長じゃね?」
「えっ!!?ほ…本当ですかアイーシャ!?どこですか!?」
二人の姿を認めたのはリリウム砲術長アイーシャ・ディヤナ少佐と航海長サーシャ・カミンスキー少佐…。
なぜ女二人で連れ立ってラブホ街をウロついていたのかと言えば……つまり二人が“そういう仲”だからである。
軍では珍しい事ではない。
そしてリリウムの乗組員は女性しか居ない(今さら)。
ゆえに若く健康な女達は性欲を持て余し、必然的にそこに落ち着くのだ。
「一緒に居るの…ありゃ新人のヤマモト少尉だな。やっぱしあの二人デキてたんだなぁ〜」
「そ…そんな…!?ライオネット艦長…!!」
ノンキに言うアイーシャの隣でサーシャは愕然と立ち尽くし、カタカタと小刻みに震え、その美しい顔には絶望の表情が浮かんでいる。
「…え!?サーシャ、お前まさか艦長の事…」
「う…うぅぅ…」
泣きながら肯くサーシャ。
ちなみにこの二人は単なるセフレであって恋人同士ではない。
アイーシャはサーシャの肩をポンと軽く叩き励ます。
「まあ、人生山あり谷ありって言うじゃないか。元気出せ」
「グスン・・・アイーシャ、あなたもたまには良い事を言いますね」
「たまにはって・・・もう少し誉めてくれても良いだろう?」
「あなたは褒め過ぎると調子に乗りますからね」
だがアイーシャの励ましでサーシャは元気が出た。
また憧れのクリスが自分達と“同類”であった事を喜ぶ。
「それにしても、まさか艦長も“そっちの気”があったなんて・・・まさに驚天動地です」
「私は知ってたけど・・・」
ボソッと呟くアイーシャ。
「でも何でヤマモト少尉なんかと・・・今までそんな素振り少しも見せなかったのに・・・だから私も諦めてたのに・・・」
「ヤマモト少尉は見た目が可愛いからな」
「だからってあんなイチャイチャしちゃって・・・!」
ずっと密かに憧れていたクリスを新人の少尉に横取りされたサーシャはカナメに対して嫉妬心を抱く。
とうでも良いアイーシャはカナメとクリスの関係を想像する。
「うーん・・・実はヤマモト少尉は男とか?ほら、言うじゃん。『こんなに可愛い子が女の子のはずがない』ってさ!」
「アイーシャ…いくら何でもそれは無いです…というかむしろそうだったとしたらまだ諦めも付くというもの…」
「…えっ!?お前まだ諦めないつもりなの?」
「当然です。必ず艦長を振り向かせてみせます。ヤマモト少尉…今はアナタの居るその場所に…私はいずれ必ず行きますよ…!」

 ゾクッ…
「ひぃ…っ!?」
その瞬間、カナメは謎の悪寒を感じた。
「?…どうしたの?カナメちゃん」
「い…いえ、何か急にゾクッとしたんですけど…気のせいみたいです」


その頃、地球連合宇宙軍総司令部の一室に宇宙軍幹部達が集まっていた…
「テラグチ中将、君の作戦案の重要性は良く解った」
「しかし現段階でこのような大規模な作戦が果たして可能なのかね?」
「皆さん!!これは出来る出来ないの問題ではない!!やらにゃあならんのですよ!!」
テラグチと呼ばれたハゲ頭にチョビ髭を生やした東洋系の将官は熱く皆に訴えた。
「そもそもだ!この戦争の発端の原因となった戦艦リリウムはワシの預かる第三方面艦隊所属の艦だ!だから、まぁ、言うなれば、この戦争はワシの責任みたいな物だと思っとる!うん!」
興奮しているのか、頬を紅潮させながら威勢良く語るテラグチ中将に他の将軍達から失笑・冷笑が漏れる。
しかし当のテラグチ中将は全く気にしていない…いや、彼には聞こえていないのだ。
将軍達は口々に言った。
「そうは言っても君、現段階でこの作戦を実行するには、余りにもリスクが大きすぎるのではないかね?」
「その通り。せめて火星周辺の制宙権を完全に掌握してからでなければ危険だ」
テラグチは言い返す。
「危険は承知じゃあ!!危険を犯さねば勝てぬ戦もある!!例え限りなく困難だとしても、やらにゃあいかん時が男にはあるんじゃあ!!だからなぁ!!ワシはこの作戦をやらにゃあいかん!やらにゃあいかん!と…そう思っとるんじゃあ!!」
「ハァ…この宇宙時代に精神論か…まぁ、その意気込みだけは評価に値するがね」
「現状、そのような大バクチを打たねばならぬ程、我々は追い詰められていないのだよ。ここはやはり着実に足場を固めて行くべきだ」
「どうもテラグチ中将は血気に過ぎる…宇宙艦隊の司令官などより地上軍の前線指揮官あたりの方がお似合いなのでは…?」
将軍達から笑いが起こった。
「ぐぬぬぬぬ…っ!!!」
テラグチ中将は顔を茹で蛸のように真っ赤にして震えている。
…その時だった。
「馬鹿者ぉっ!!!!やめんかぁっ!!!!」
中央の席に深く腰掛け、さっきから黙って事の成り行きを見守っていた将軍が一喝した。
見事な白髭をたくわえた老将であった。
「「「し…失礼しました!ヤマモト大元帥閣下!」」」
「うむ…」
男の名はイソハチロウ・ヤマモト…先の火星事変で数々の武勲を立てた英雄であり“大元帥”の称号を持つ宇宙軍軍人である。
この“大元帥”という位は彼の為にわざわざ新設された階級(それまでの最高位は元帥)で、従って彼一人だけであった。
つまり簡単に言えば、彼に逆らえる者は宇宙軍には居らず、その権限と影響力は絶大だった。
そのヤマモト大元帥が言った。
穏やかな口調で…
「…テラグチがここまで言ってるんだ。やらせてやろうじゃないか。私は、彼にやらせてやりたい…そう思うのだよ」

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