改造実験〜堕ちる女達〜 13
そうして、クイーンは机に向かい、置かれているパソコンを操作し始めた。
すると、床の一部が静かに動き、カプセルが一つせり上がってきた。
「こ、これは...」
祐子は中に入っている人間に見覚えがあった。
ついさっき...クイーンの部屋へやって来る前に見ていた、実験体の一覧が書かれたカルテに「S級」とランク分けされていた素体。
名前は...確か、村雨晃。
「...既に記憶の調整と洗脳処置は終わっています。彼女の心はもう、私に忠誠を誓う優秀なジョーカーの怪人そのもの。」
スクイッド、いや祐子の考えを代弁するようにクイーンは答える。
「本当は、直々に肉体調整をする予定でしたが、スクイッド、彼女をあなたに託します。あなたの思う最高の調整を施し、彼女をクイーン直属の親衛隊へするのです。あなたの忠誠心を私に示しなさい。」
透き通るようなクイーンの言葉にほろりと祐子は涙を流した…これほどまでにクイーンは私を信頼してくれている、だれでもないこの私を…その事実は誰よりも胸を打ち、そしてしばし息をついたのちに、祐子はクイーンに言葉を返した。
「お任せを、クイーン…貴女の望むように改造を成し遂げて見せます…ただ」
「ただ?なんですか?スクイッド」
「さすがに一体のみを貴女の護衛にするのは心細いし不確定ですからね、最低でもあと三体のクローンを要求します、索敵、格闘力、防御力…全てを満たしたクローンと、私の技術力を駆使した限界まで強化されたスペシャルタイプを製造する…それでどうですか?クイーン」
あくまでも学者らしく、そしてクイーンの力を過信しない…いや、過信するからこそそれに見あった能力ある怪人を作り出そうとする、その心意気に打たれたクイーンは苦笑し祐子に話しかけた。
「貴女らしい隙のない意見ね…構わないわ、もちろん既にクローンは培養済みです…さあ、好きなだけ改造を行いなさい?スクイッド」
そのままクイーンは指をならし、それにあわせていくつものカプセルがせりあがり、クイーンと祐子の意識のシンクロを見せながら、クイーンは軽く祐子の肩を優しく叩いた。
「改造がうまくいったら…たくさん子作りしましょうね?スクイッド…いえ、お母様…貴女にも私の子供を産んでもらいたいわ?」
「ふふ…娘に孕まされるなんて…少し期待してしまいますよ?クイーン…ご期待に添えるように頑張りますね?」
祐子がクイーンに返す言葉に嘘はなく、またクイーンも口では忠誠と言いながらも、祐子に対する信頼は厚く、それ故に羨ましがるスパイダーの嫉妬を抑えるため、スパイダーを抱く回数も増えているくらいだった。
(貴女には辛い役目を押し付けてしまうかもしれないけど、それは期待の裏返しでもあるわ…頑張ってね?お母様)
口には出さないクイーンの、そんな密かな思いに応えようと考えるスクイッド…祐子の決意は固かった。
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培養液のなかでごぽごぽと空気の玉が浮かび上がる、クローン晶の呼吸は普通よりも激しく暴れまわるが、それも気にしないと言わんばかりに祐子は改造を続けていた。
「ほらほら…暴れないの?また空気がこぼれてしまうわ…勿体ないでしょう?」
「あぁっ…あっ!やぁっ…スクイッド様ぁっ…あぁっ!」
端から見れば二人が愛し合い、仲睦まじく絡み合っているようにしか見えないだろう…いくつもの触手に攻め立てられ、同じく裸で祐子が培養カプセルの中に入り交わる様は淫らでしかないが、もちろんそれが目的ではないことがしっかりと解るように、次第にクローン晶の肉体は変質を始めていく。
「あ、あぁっ…熱いっ…身体が熱いですっ…スクイッドさまぁっ…あぁっ!」
「力を抜きなさい?昌…それは次第に自分がジョーカーの一員になっていく証拠よ?…ほら、解るでしょう?新たな力がわいてくるのが…」
祐子は優しく昌に話しかけるが端から見ればどうみても祐子はタチ役にしか見えない、そんな状況下で…次第に昌の皮膚は変質して盛り上がり、インディゴブルーの甲皮が昌の肉体を覆いはじめた。
鋭い爪こそないがその肉体は次第に鎧のように代わり、昌の顔自体を覆うヘルメットのようになり、指先はまるでボクシンググローブのような甲皮に覆われ、胸部がぐちゅりと盛り上がり、新たな器官が作られると共に、祐子は解説を始めた。