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改造実験〜堕ちる女達〜
官能リレー小説 - SF

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改造実験〜堕ちる女達〜 11

優秀な個体はクローニングを施され、培養液の中で「養殖」されているのが確認できた。

「まずは戦闘員の作製から始めましょう…素体は彼女…長束典子…成績も中の上、ポジションはセッター…思い切りもよく、知性に問題はないわね…さあ、改造を始めましょうか?」

ぺらぺらと典子の調査書類を捲りながらスクイッドは部下達に命令を下し、培養カプセルに浮かぶ典子のクローン達にロボットアームを使い、怪しげな液体を流し込んでいく。 

「あっ…あ゛あ゛っっ!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっっ!!!!」

昏睡させられていたはずのクローン達が一斉に悲鳴を上げるが、肺まで培養液に浸かった肉体はごぼごぼと液を吹き出すだけで悲鳴はあっさりとかき消され、それに合わせ、肉体の変化が始まった。 

「私の考える戦闘員というモノには、怪人に必要なコストを…つまりは改造による手間をかけません、この改造液を注入するだけで、従来のような…スパイダーさんを一体作り出すのにかかるような大掛かりな機材は必要なく、合わせて人間社会にばれることもなく、安全に組織の数を増やせます」


「んお゛っ…え゛お゛っ…お゛お゛っ!!」

スクイッドが説明する横で苦しむ典子のクローン達は、次第に痙攣をやめ、それに合わせるようにカプセル内部の培養液が抜かれていき…調整され無毛化された股間には、じゅううう…と音を立て、ジョーカーのマークの焼き印が押されていく。

「肉体能力は成人男性の約10倍…知能に関しては制御中はやや低くなりますが、IQの高さは平均並になります…さらに、強化スーツと連動させるために血液は人工血液に、食事もPカプセルの進化系…Pエネルギーバーにする事で、排泄もほぼ行わず、肉体限界も一日一時間の睡眠のみでほぼ無制限に、一週間食事もとらず戦い続けることが可能になります。」


つらつらと作り出した戦闘員システムを語るスクイッドに対し、研究者達は口々に素晴らしい、これならば人員もコストも心配がいらなくなる、などと賞賛の声を上げ、スクイッドもまんざらでもない表情を浮かべながら、そのまま次のレポートの説明…改造システムを応用した洗脳装置による記憶の改ざんや、それに合わせた敵対組織への侵入や、爆破テロを起こす時の条件づけ、簡易な専門職ならば記憶改ざんで人員を増やせることなどを伝え、今後典子を改造した戦闘員を大隊クラスで製造し、運用する事で組織の運営に当てる…という説明で締めくくられ、スクイッドは喝采を浴びながら壇上を後にした。

…くだらない、人員が増えても組織は組織だわ、クローンを使った方が派閥抗争はなくなりやすくなるもの、何故クイーンはわざわざお心を煩わせるようなことをするのかしら…。

スクイッド、いや、祐子は戦闘員達のお披露目式を終えながらもそう考え、軽く欠伸をする。

祐子はクイーンの方針に口を出す気はさらさらなかった、むしろクイーンに対する愛情は自分がクイーンを産んだことで母性や
庇護欲と合わせてより強まっていたが、それが強まれば強まるほどに、寡兵かつ組織力の小さなジョーカーの、それでいてスパイダー程度の怪人の製造に満足している研究者達に対する祐子の苛立ちは募り、今回の戦闘員製造計画と、それに合わせたバス襲撃計画を思いつかせていた…言わば親心だが、それ自体はクイーンにより形成されたものでもある…色々考えてしまう自分が恨めしい、スクイッドであることを止め、思考を素に戻した祐子はそう考え…そしてパワーをセーブした手で壁を軽く殴る。


ふと、そんな祐子が振り向くと、後ろにはクイーンが立っていた、その顔はどこか悲しげな表情を浮かべている。 

「クイーン様、失礼致しました…何かご無礼を…」

「違うわ、スクイッド…いいえ、お母様…私には貴女の思考が伝わってくるの…だから、解ります…ごめんなさい、私が不甲斐ないばかりに、貴女に辛い思いをさせてしまっていただなんて…」

「く、クイーンっ!!そ、そんなっ…謝らないで下さい…いえ、悪いのはママの方よ、だから謝らないで…でも、ママは怖いの…いずれ貴女が誰かに傷つけられて失われてしまうのが…だから謝らないで、クイーン…私の可愛い、私だけのクイーンっ…」

申し訳なさげに立ちすくむクイーンの姿とその言葉の意味を理解した祐子はクイーンのまだ小さな身体を抱きしめた。 


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