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闇の牙―牝狼―
官能リレー小説 - SF

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闇の牙―牝狼― 9


両手で自分の身体を抱く様にして震えている美紀。
だが…一心不乱に自慰に耽る姿よりはマシに思えた。
そんな美紀の変化には美央も舌を巻かざる終えない。
だが当然の様な顔をした恵理奈。
次の行動に出た。
恵理奈の可愛いらしい唇が…やはり可愛いらしい美紀の唇に重なったのだ。
驚いた様に目を見開く美紀。
そんな美紀を尻目に恵理奈はしっかりと舌を動かしている様だ。
重なった薄ピンクの唇の間からはクチュクチュと卑猥な音が漏れてくる。
その背徳的な光景に真央は生唾を飲み込み。
ただ魅入ってしまった。

美紀の唇を割り…その中に潜り込んだ恵理奈の舌が。
美紀の舌を絡めすくめる。
美紀の見開いた瞳に少しずつではあるが。
意志の光が灯りだす。
そして…。
「んん!?」
唐突に恵理奈の唇から逃れ様と藻掻き始める美紀。
唇を重ねながらも冷たい眼差しでその様子をはっきりと確認している恵理奈。
たっぷりの余韻と。
唾液の糸を引いて…。
恵理奈の唇が美紀の唇を離れた。
そして薄い笑みを浮かべる。
だが…その笑みは美紀を思いやった暖かい物とは程遠い物であった。


清吾はソファに腰掛けると両膝に両肘をつき。
組み合わせ両手の上に前屈みの顔を乗せ。
暗い目つきで病棟に続く廊下を眺めていた。
苛々していた。
他の誰にでもない…自分にだ。
「くっそ…」
さっきより小さい声で呟く清吾。
その時…廊下の角を曲がって恵理奈が戻ってきた。
例によって両手をジャケットのポケットに突っ込んでいる。
「何か判ったか?」
慌てて声をかける清吾。
直後にしまったと思えてきた。
恵理奈が素直に話してくれるとは思えない。
案の定。
「まぁ…」
恵理奈はそう言ったきりだった。


新宿蕪木町近くのコンビニ…。

ファーストフードがある様に今の時代もコンビニエンスストアは存在した。
だがその店舗形態は大きく変わっていた。
店内には陳列される品物はおろか…陳列棚すらなかった。
ファーストフードの様に防犯用のカウンターがあり。
その奥に店員が。
更に奥に商品が保管されているのだ。
客はそのカウンターで金を払ったのちに商品を受け取る。
それが今の時代のコンビニの姿であった。
それでも近年、うなぎ登りに増加したコンビニ強盗を防ぐ手立てにはなっていなかった。


そんなコンビニの店長である柳田泰司は。
バックヤードで棚卸しの最中であった。
泰司は商品をチェックしながらも…。
隣で同じく棚卸しをしている槙村冴子をチラチラ盗み見ていた。
冴子を雇ったのは一週間前。
履歴書にあった年齢は24歳。
ほっそりした顔立ちで。
黒い髪を後ろで束ね。
垂れ落ちた前髪で顔を隠す様にして。
赤い縁の度の強そうな眼鏡をかけていた。
性格は大人しいと言うよりも陰気であった。
面接時の格好もデニムのシャツにジーンズで細い身体を包んでいた。
色気の欠片もない感じの女性だが…。

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