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闇の牙―牝狼―
官能リレー小説 - SF

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闇の牙―牝狼― 1

極度の経済破綻。
それが…かつては平和な事で世界でも有数だったこの国を。
世界でも稀にみる凶悪な国家へと変貌させていた。

新宿蕪木町。
かつては東洋一の栄華を誇ったこの街も。
今では廃墟や悪党の巣窟、違法営業の店が軒を連ね。
路上では違法薬物や銃火器の密売。
売春行為やリンチ、強盗殺人と言った犯罪行為が渦巻いていた。
そんな悪臭と悪意に満ちた街を抜けると…。
樹木の生い茂る緑に包まれた公園。
広大な高城公園があった。
かつては家族連れやカップル達が憩う場であった高城公園。
今では…。

多くホームレスの住みか。
そのホームレス達を狩る歪んだ餓鬼共の遊び場。
そして…近隣から拉致した女性を輪姦する場となっていた。
そして、まだ肌寒い今夜も…。

美紀は涙の枯れ果てた虚ろな瞳で星空を見上げいた。
雅人と一緒に学校を出たところを拉致された時はまだ夕方だった。
数時間に及ぶ凌辱が美紀の肢体を麻痺させていた。
そして…傍らに転がる雅人の亡骸が美紀の心を麻痺させていた。
美紀と雅人を拉致したのは三人組の不良。
その中の一人が全裸の美紀の下半身にのしかかり都合七回目の挿入の最中であった。

不良の腰の動きに合わせてギシギシと揺れる美紀の身体。
ただ…それだけだった。
声を上げる訳でもなく。
激しく抵抗する訳でもない。
他の不良二人も既に美紀を押さえつけてはいなかった。
ただ…ただ…。
宙を見つめる美紀。
無くした心…しかし聴覚だけが異様に冴えていた。
不良たちがあげる賑やかな嬌声。
グルルルルッ――。
不良たちの嬌声に混じって微かに何か聞こえた。
獣が狂暴に喉を鳴らす様な音が。
美紀の下半身の上で腰を振る不良。
その不良の背後の闇の中に何か光った。
次の瞬間…闇が闇を切り裂いた。

ゴトッ――。
丸く硬く思い物が美紀の乳房の上に落ちてきた。
次の瞬間…自分の乳房の上で白目を剥いた不良と向かい合う事になった。
直後、生暖かいヌルついた液体が美紀の顔や身体に降り掛かってくる。
「いっ!キャァァァァァ!」
その瞬間…美紀の心の麻痺が解けた。
自分の方に倒れ込んできた首から上を失った不良の身体。
その身体を押し退け…這う様に逃げる美紀。
残りの不良二人は…。
腰を抜かした様にヘタリ込んでいた。
「なんだ!なんだ!」
不良の一人は腰を抜かしたまま…にじり退った。

怯えたその目は闇の中の闇を見据えている。
そして闇が動いた。
腹部に凄まじい衝撃を受けた不良。
視線を下げると…。
腹部に闇が突き刺さっている。
「ア…ガアアアア!」
続いて襲ってきた激痛に目と口を大きく開き…野太い悲鳴を上げる不良。 
闇がスッと不良の腹部から引き抜かれる。
その闇には不良の臓物が握られていた。
「うわぁぁぁぁ!」
残った不良がヨタヨタと立ち上がり…闇に背を向けて逃げようと足掻いた。
ガルルルッ――。
闇は咆哮を上げると。
獣の形で不良の背中に飛び掛かった。

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