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闇の牙―牝狼―
官能リレー小説 - SF

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闇の牙―牝狼― 7


「ちょっと!待って下さいよ!」
公務で来ている自分がハブかれる謂われはない。
清吾はこの無礼な女医に対し…あからさまに憮然としてみた。
しかし…。
「とにかく…今のあの子に会わせられるのは、そちらの刑事さんだけです」
全く、とりつく島のない女医。
更には…。
「わかりました」
清吾に一瞥もくれる事なく恵理奈が進み出た。
こうなると清吾も黙らずに終えない。
そんな清吾を置いて病棟へと向かう恵理奈と女医。
「くそっ!」
その後ろ姿を見つめながら、清吾は苦々しくソファを蹴り上げた。
待合室で一頻りの憤り燃やした後、成田清吾は自己嫌悪に陥っていた。

寧ろ清吾の方が不躾…事情はどうあれ相手は先ず何よりレイ○被害女性…そう『女性』である。
そんな敏感かつ微妙な場に男が割って入ればどうなるか?

「畜生。」

古き良き金バッジ入りのIDと、弱装弾から特殊弾頭まで対応化されたニュー南部リボルバーを、善良な市民にはばかりながら懐に納める身分。

先ほど肉に纏わる話を心中で冗談混じりに責めながら、いやそれ以上に自分はどれだけデリカシーの欠けた人間なのだと自己嫌悪する。


だが…実際には想像を上回る事が起きているとは。
この時の清吾は知るよしもなかった。


病棟に続く廊下…。

蛇原美央はその黒縁眼鏡の奥の切れ長の瞳で。
隣を歩く女刑事をチラチラと盗み見ていた。
ジャケットのポケットに両手を突っ込み。
一歩づつ弾む様に歩く姿は…まさに街中をブラつく女子高生といった感じであった。
だが…美央はこの東恵理奈という女刑事に得体の知れない物を感じていた。
刑事という肩書がそうさせるのでは無かった。
同性愛者の側面も持つ美央。
女を見る際の感覚が…。
可愛いらしい外面に隠れた。
異常なまでの狂暴性を嗅ぎ付けていたのかもしれない。
だがそれはあまりにも魅力的過ぎる危険であった。
恵理奈の放つ堕天使の様な背徳的な可愛いらしさに。
そして殺人鬼の瞳の様な底知れぬ恐怖に。
白衣の中のタイトスカート。
更にその中…美央のショーツの中はしっとりと潤み始めていた。
だが…そんな素振りは見せしないで。
「ここよ」
並んだ病室の端、一つのドアの前で美央は立ち止まった。
そのドアは固く閉ざされ…面会謝絶の札が垂れ下がっていた。
そして…中から聴こえる微かな声。

すすり泣く様な…喘ぐ様な切なげな声だった。
担当医である美央は勿論、その声の意味を知っている。
そして…。
恵理奈とて、見た目はどうであれ子供ではない。
瞬時にその声の意味を理解した。
理解はしたが。
一向に躊躇う様子もなく無造作に病室のドアを開いた。
漏れ溢れていた声。
いっきにボリュームが上がる。
ドアを開けた時と同じでなんの躊躇もなく中に踏み込む恵理奈。
そして美央は込み上げる興奮を抑えきれないのか…。
「はぁぁぁ…」
恵理奈の背後で熱いため息を漏らした。

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