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闇の牙―牝狼―
官能リレー小説 - SF

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闇の牙―牝狼― 5

そしてまだ半分ほども吸っていない…唇に張り付かせていた比較的安価ながら正規メーカー煙草たる『わかば』を、さも不機嫌そうに吐き捨てた。

(同クラスで安価なゴールデンバットやエコーは好みではないらしい)


血溜まりにポトッと落ちて。
ジュッと音を立てて消える『わかば』の吸いさし。
続いて…手にしていた手のひらの一部も。
無造作に放り捨てた。
スッと立ち上がると…。
ジャケットのポケットに両手を突っ込み。
ズカズカと血溜まりの上を歩き…清吾と警官の傍らに歩み寄る恵理奈。
清吾も…。
警官も…。
その恵理奈の姿を見て。
知らず知らずのうちに一歩後退していた。
「頭は?」
警官に問い掛ける恵理奈。
僅かな笑みを浮かべている。
思ったよりも凶悪な事件に幾分、機嫌も持ち直した様であった。

「こ…こちら…です」
愛想笑いを浮かべた警官が後づさる。
そして後方にある盛り上がったブルーシート。
そのブルーシートを剥いでみせた。
そこには…。
比較的まともな生首が二つ。
もう一つは…。
額から上が潰れていた。
その時の衝撃だろうか…両目の球が飛び出して。
視神経の束でぶら下がっていた。
その潰れた生首。
生前は好都合にもスキンヘッドであった様だ。
だから…。
生首になった今では。
頭頂部を柘榴の様に弾けさせ…その中身を曝け出していた。
潰れたゼリーの様な、その中を覗き込む恵理奈。

両手をジャケットのポケットから出すと。
クセなのか右手の指先で自分のサイドの髪をいじり回している。
そして左手は何かを確かめる様に…。
握っては開き、握っては開きを繰り返している。
「あのぉ…」
そんな恵理奈に…恐る恐ると言った感じで声を掛ける警官。
自然体でフッと振り返る恵理奈。
水着姿ならプロマイドとして成立しそうな姿だった。

生き延びた被害者と思しき少女がいる。 
警官の話を聴いた恵理奈と清吾。
清吾は早速、少女が入院している警察病院に向かいたがった。

一刻も早く、この場を離れたいと言うのが本音の様であったが…。
「朝御飯…食べてから行こうよ」
やっと…はっきりと笑顔を清吾に向ける恵理奈。
たが。
そのセリフを聴いた瞬間…堪えきれないと言った感じで。
警官がウグッと喉を鳴らした。

数分後…。
恵理奈と清吾は現場近くのファーストフード店にいた。
恵理奈はチーズバーガーとポテトとストロベリーシェイク。
清吾は流石にコーヒーのみ。
そのコーヒーを誤魔化す様に流し込む清吾。
テーブルの前に座る恵理奈を見つめた。

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