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闇の牙―牝狼―
官能リレー小説 - SF

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闇の牙―牝狼― 34

その手刀とほぼ同時に反対側に蹴り出された恵理奈の足。
その足の裏が金髪モヒカンの膝頭を砕いていた。

「うぐっっ…!」

「あぁぁぁ!」

一瞬で戦意を失う黒人とのハーフと金髪モヒカン。

それはスキンヘッドに伝染していた。
喧嘩慣れしていたはずの仲間を3人。
一瞬で使い物にならなくされたのだ。
戦意を失うのも仕方ない事であった。
「い…いや…わる…」
怯えたような愛想笑いを浮かべるスキンヘッドだったが…。

挟むように振られた恵理奈の両手。
その掌がスキンヘッドの両方の鼓膜を叩き破る。

「おわぁぁぁ!」
キ―――ンと聞いた事のない高周波のような響きがスキンヘッドの脳内に溢れ。俯くように身を屈める。

その顔面に突き刺さる恵理奈の華奢な膝。
華奢ではあるが…。
細くて切れ味の良い、仔犬の牙に似た鋭さがあった。

その膝にもんどり打ってひっくり返るスキンヘッド。

「お…おい!」
膝頭を砕かれ…疼くまった金髪モヒカンが。
視力を失い同じく疼くまる黒人とのハーフに必死に声をかけている。
逃げる算段には違いないようだが…。

恵理奈はそんなに甘くない。

スッと上がった恵理奈の右足。
強烈な横蹴りとなって…黒人とのハーフの側頭部を捉えていた。

吹き飛ぶ黒人とのハーフ。
だが派手にブチのめされるグループの周りで凶気は別の連中に広がってゆく。

右の懐に手を差し込んだ清吾。
うんざりしていた。
左手の指先にはスタンガンが触れている。
この場を収めるには、このスタンガンを恵理奈に押し付けるしかないと思えるが…。
例えこの場が収まっても、その後の命の保証がない。
恵理奈を止める事を諦めた清吾。
左手を右の懐から抜くと代わりに右手を左の懐に差し込む。

その瞬間、清吾は見た。
恵理奈の爪先が金髪モヒカンの口の中にめり込むのを…。
そしてその爪先が引き抜かれ。
白い粒が幾つも弾け飛ぶのを…。
更にその奥で懐に手をやる他グループの連中。
大方…グループは違えど同じゴロツキがここまでやられて黙っていられないところであろう。

えぇぃ!クソッ!
本当のホントに腹を括った清吾が拳銃を引き抜いた。

その瞬間だった。

「やめねぇか!てめえら!」
野太い声を上げて。
床でのたうつ黒人とのハーフの脇腹を蹴り回す男。
この場に似合わないスーツ姿だ。

「柏木!てめぇ…邪魔すんなよっ!」
滑るように動いた恵理奈。
自分よりも頭ひとつ分以上高いスーツの男の顔をジッと見上げる。

その黒い髪をオールバックにした。
蛇のような双眸の男。
金龍会幹部の柏木徹であった。

「何言ってるんすか?協力してるんですぜ!可愛い刑事さん」
そう言いながらも敵意を漲らせた目で。
恵理奈を見据える柏木。

「ざけんなっ!コラッ!!」
その柏木を睨み返す恵理奈。
その様は痴漢を恫喝するガラの悪い女子高生のようだ。

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