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闇の牙―牝狼―
官能リレー小説 - SF

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闇の牙―牝狼― 22

金原を見つめる。
だが…その瞳には冷たい光が灯り。
「あの女…うちの事務所で働いてもうおうと思ってたんですが」

そう言い放った寺坂の瞳を睨み返す金原。
確かに『テラ企画』のタレントとなれば、あの女刑事の事だ。
真の意味でマルチな才能を発揮する事となるだろう。
あの女刑事を殺したいのも事実ではあるが。
もし手に入るなら…。

そんな金原の心中の葛藤を見抜いた寺坂。
「マダム…俺たちの奴隷にしちまいましょう」
そっと金原の心を後押した。

そして、金原の顔に淫欲な笑みが浮かんだ。



夜が明けた。

新宿署の地下フロアの一室。
射撃訓練室の隣にあるのが特殊捜査本部であった。
特殊捜査課課長兼班長以下六人の刑事が所属していた。
その部屋の中。
清吾はゼリー状の健康食品のチューブをくわえ。
恵理奈が出勤して来るのを待っていた。
恵理奈と組む様になってからは清吾の主食はサラダかゼリー状の健康食品になっていた。
日々見ている無惨な死体。
それだけが清吾の食欲を奪っている訳てはなかった。
大きな原因は恵理奈にあった。
恵理奈のデリカシーの無さもある。
しかし…それだけではない。

性格はどうあれ見た目は異常にまで可愛い恵理奈だ。
清吾とて若い男性。
そんな恵理奈と一緒にいると。
どうしても自分の体型を気にしてしまっていた。

だが…実際にはそんな事は一切、気にしていない恵理奈。
今日も朝から不機嫌な様子でやって来た。
その唇には早くも『わかば』が貼りつき。
濃密な煙を上げていた。

「高城公園の方の正式な鑑識結果だ」
恵理奈の顔を見るや否や。
数枚の書類を差し出す清吾。

書類を受け取り自分のデスクにつく恵理奈。

書類には…。

『雅人』が所持していた拳銃以外の硝煙反応なし。
刃物を使った痕跡なし。
動物の物と思しき体毛が発見されているが。
その正体は今のところ不明。
死因は鑑識不可能。
殺害方法は銃殺、刺殺、撲殺、絞殺、圧殺等のどれかに絞り込む事も不可能。
敢えて言うなら…。
噛み砕かれ。
引き裂かれ。
抉られ。
握り潰され。
最後に食い荒らされた。
そんなとこであった。

「まるでモンスターだな」興味津々って感じの恵理奈に。
眉をしかめた清吾が話しかける。

振り返る恵理奈の瞳。
よく見せる“だからなんだ?”だ。

プルルルルッ――。
その時…室内の電話が鳴り響いた。
出たのは…。
室内にいた恵理奈と清吾の他のもうひとり。
課長の平仲だ。

「なに!?あぁ…わかった、向かわせる」
電話口に向かって…。
一言、二言、言葉を交わす。
そして電話を切る。

平仲の視線…言葉端を感じた清吾。
その視線を恵理奈から平仲へと移す。

「まただとさ」
平仲は肩を竦めて見せる。

「場所は!?」
清吾が平仲の前へと歩み寄る。

その後ろで恵理奈も立ち上がっていた。

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