PiPi's World 投稿小説

闇の牙―牝狼―
官能リレー小説 - SF

の最初へ
 15
 17
の最後へ

闇の牙―牝狼― 17

今では内側を派手に彩っていた内装も。
見る影もなく崩れ。
無機質なコンクリートの腸を剥き出しにしている。
闇に包まれた街に向けて開かれた窓枠にも。
既にガラスはなく。
冷たく鳴く様な風を。
街より深い闇の中へコゥコゥと流し込んでいた。

その闇の中…。
独りの女がうずくまっていた。
小刻みに震える己が身体を抱き締める様に。
闇の中に白い裸体を浮かび上がらせる…その姿。
冴子であった。

「うぅぅぅ…」
唸る様な声を漏らし。
震え続ける冴子。
寒さや恐怖の為ではなかった。

内側から込み上げる。
殺戮の熱い衝動に…。
その身を奮わせているのであった。

以前は月の満ち欠けに。
大きく左右されていた殺戮の衝動。
それがこの街に来てからはのべつまくなし。
抑えが効かなくなっていた。

そして闇の中。
ユラユラと幽鬼の様に立ち上がる冴子。
グルルルル――。
形の良い小さな口から。
獰猛な唸りが漏れる。
その黒く大きな瞳は。
瞬く間に金色の輝きに包まれだしていた。


警察病院。
オレンジ色の微かな灯りの中で眠る美紀。
恵理奈の荒療治のお陰か。
正常に戻りつつあったが…。

事件の時の記憶。
その記憶がポッカリと抜け落ちていた。
その美紀。
今は病室のベットで静かに眠っていた。

病室の扉がスゥゥと開き。
蛇原美央が静かに入ってきた。
白衣に身を包んだ細身の女医。
冷たい眼差しで美紀の寝顔を覗き込んだ。

美央は美紀に嫉妬の冷たい炎を燃やしていた。
恵理奈に唇を奪われたからではない。
恵理奈に何度も殴られていたからだ。

顔色ひとつ変えずに美紀の頬を叩き続けた恵理奈。
その残酷なまでの神々しさ。
美紀の頬を張る音を聴きながら。
身震いする程の興奮に包まれた美央。

黒いガーターベルトと黒い絹のストッキング。
スカートの中で剥き出されている内股。
その内股に垂れ落ちるくらい。
美央はショーツのクロッチを濡らしていた。

その恵理奈が帰った後。
美央は独りきりの診察室の中、自慰に耽り。
何度も何度も登りつめたが…。
美央の欲望の黒い炎は消える事はなかった。

昼間とは打って変わって穏やかに眠る美紀。
その美紀を見つめながら。
冷たい表情のまま美央は自分の白衣に手をかけた。


恵理奈のマンション。
その恵理奈はシャワーを浴び終えて…。

その華奢な身体を。
白いベビィドールに包み。
ベットの上にあぐらをかいて座っていた。
そのシャワー後の茶色い髪は。
タオルで拭いただけなのでウェーブをより強め。
不自然にまでに長いサイドの髪を事さら強調していた。
だが…。
ベットの上のその姿は。
思春期の少年ならそれだけで射精しそうな可愛いらしさであった。

更には恵理奈。
その格好で枕元にあった本に手を伸ばした。
真剣な眼差しで見つめる恵理奈。
見つめる先は…淡い恋愛模様を描いた少女漫画であった。
そしてテーブルの上には缶入りのイチゴ牛乳。

SNSでこの小説を紹介

SFの他のリレー小説

こちらから小説を探す