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処女の惑星
官能リレー小説 - SF

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処女の惑星 15

「さて・・・と。もう分かっているだろうが、俺は宇宙警察の者だ。お前を、詐欺の現行犯で逮捕する!まあ、調べが進めば、罪状はもっと増えるだろうがな。ハハハハハハ!」
俺はその後宇宙警察に連行され、他の罪も重なって懲役10年の実刑判決を受けた。

私は、長い年月をここで過ごしている。
宇宙独房…別名「孤独の牢獄」。宇宙空間の、特に何もないところを選んで作られるガラス張りのカプセル。右も左も、見渡す限り宇宙。
宇宙船の往来もここはない。
普通の人間ならば、半年を待たずに精神が崩壊するらしい。当然、普通の人間はここへ来ることを希望しない。
しかし、私は敢えてここに来ることを希望した。
ここは、他にはない利点がひとつだけあったからだ。それは…この空間圏内は時間の歪みがあり、時間の進みかたが通常の10分の1程のスピードなのだ。
つまり、年をとるのが遅い。
私は忘れられなかった。あの惑星を……

時間が経つのが遅いということは、感じる時間も遅い…ここでの10年は他での100年に等しい。
食事も、周りにある僅かな有機物を独房に備え付けられた機械が自動的に採取し、腕に繋がれたチューブから体内に必要なだけ送り込まれるだけだから、味気もなにもない。
私に取ってこの10年は1000年に等しかった。
あの悪夢から10年経ったその日…私は解放された。
「おぉ…生存情報があってまさかとは思ったが、この独房に10年耐えられる人間がいたとは…」
解放に来た宇宙警察の人間は化け物でも見るような目で私を眺める。いい気分ではない。
行かなくては……

地球に戻った私は、まず自分の家に帰り着いた。私があの星にいた1年と、投獄の10年とで、私の家は酷い有り様だった。泥棒に入られた用で、家には埃と僅かな家具しか残っていない。
まだあれはあるのだろうか……
私は埃まみれになりながら、リビングの床板を外す。
床板の下には、地下への階段が隠されている。扉に暗証番号を入力すると、ロックが解除され、ウィーン、という音を立てて扉がひらいた。ここを荒らされた形跡はない。

しかし10年も放置された宇宙船は腐敗していた。
「むう…しょうがない」
これではあの星まで行けない。修理するほかはなかった。お金がなかったため宇宙船をつくる作業は楽ではなく出所してから1年が過ぎていた。

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