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モンスターハーレム
官能リレー小説 - ファンタジー系

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モンスターハーレム 212

潜在能力などという単純な言葉では片付けられない不可思議な現象。
オレは外見では平静を装っていたが、心中では身体に潜む得体の知れない存在を感じ、恐怖に身を震わせていた。
オレは心に広がる恐怖と不安を打ち払うように、近くの魔物娘たちを抱きしめる。

「きゃっ・・・!ら、ラグ様?」
「んッ・・・何だ?ありもしない亡霊に怖くなったか?」

突然の行動に、魔物たちは歓喜しつつもちょっと驚く。
サルスベリに至っては心中を見透かしたかのようなムカつく物言い。
・・・コイツ、後でシメとこう。

「安心しろ。
 私もお前を作るプロジェクトに参加したが、亡霊を思わせるようなおかしなデータは何1つなかったぞ?」
「・・・だから違うっつってんだろ」

とか言いつつ、その気遣いがうれしかったので予定していたサルスベリのおしおきはキャンセルしてたりする。
・・・やかましい。オレにだって怖いものがあるんだよっ。
っと。今はそれより確認しておかないと。

「・・・なぁ。それって魔物なら誰でも知ってることなのか?」
「さてどうだろうな。魔物の世界は弱肉強食だからな。
 もしかしたら意味も知らずに漠然と風習に従っているものもいるかもしれん。
 そこのウサギや小鬼に聞いてみたらどうだ?」

まとわりつくミミたちに目を向けると、魔物娘たちはそろって首を横に振る。
知らなかったという意思表示だ。
何にしても、これでカグラへの疑惑が確定になった。
アイツはオレに対してそんなことなんて一言も言ってなかったから。
いくら何でも魔王代行ともあろうものが、風習の意味を知らないなんて考えにくい。
オレはさらに疑惑を強固なものにするために、サルスベリと話し合い続けた。

――――

「・・・・・・」

明かりが灯された暗い部屋。
そこで彼女は1人、水晶玉を通じて事の成り行きを見守っていた。
部下への指示を済ませた後、疲れを理由に自室に戻ってきたのだ。
どうやらあの男は、周囲に対して何かを感じ取り始めたようだ。
だがもう遅い。あの男が生を受けた時点で全ては始まっていたのだ。
後は坂を転がる石のように進んでいくだけ。
たとえ全てを知ったところで、アレには何もできないのだ。
せいぜい反対派の連中を食らって強くなるがいい。
何なら自分を含むこの愚者の迷宮、全ての魔物を食らってもかまわない。
自分は目的さえ遂げられれば、どうなったってかまわないのだから。
全ての黒幕は、水晶玉をのぞきながら微笑む。
それは事が思惑通りに進んでいる、獣のような微笑みだった――。

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