モンスターハーレム 157
全てをあきらめきったオレは世捨て人のようにつぶやいた。
「・・・も、いい。お兄ちゃんでも何でも・・・」
「そうか!私のマスターになってくれるのだな、お兄ちゃん!
ではお兄ちゃんの気の変わらないうちにさっさと兄弟の契りとマスター登録を済ませてしまおう!」
テスはそれはそれはうれしそうに言うと、お兄ちゃんと連呼しながら服を脱ぎ始めた。
・・・ああ、神様。あなたはやはり魔物はお嫌いですか?
つーか、オレを苦しめることを楽しんでいませんか?
オレは泣きたい心境で、1人見たこともない神様に愚痴っていた。
・・・って、ちょっと待て。今、コイツなんて言った?
「・・・テス。オマエ、さっき何て言った?
兄弟の契りの後にとんでもない言葉が聞こえた気がするんだが」
「耳が悪いな、お兄ちゃん。
私は兄弟の契りとしてマスター登録をしてくれと言ったんだ」
・・・OK。冷静に考えよう。
オレはコイツの身体を弄繰り回して、少し壊してしまいました。
結果、このバカはオレをご主人様と誤認した挙句に、オレのことをお兄ちゃんと呼ぶ妹属性つき素直クールになってしまいました。
・・・さて問題です。
コイツはオレをマスターと認識しているのに、何ゆえマスター登録が必要なのでしょうか?
考えている間にも時は無情にも流れていく。
「・・・おい。オマエはオレをマスターだと思っているんだよな?」
「ああ。お兄ちゃんは私のマスターだ」
「じゃあ何でマスター登録する必要がある?」
「・・・ああ。そう言えばまだ説明していなかったな。
今、私の記憶にバグが発生していて、お兄ちゃんはマスターだという記憶があるのに、その記録がなくなっているんだ。
この矛盾を直すためには再契約する必要がある」
「まさかそのためには抱いてもらうのが1番だとか言わないだろうな?」
何かイヤな予感がしたオレは、不安を払拭するべく再度質問する。
するとテスは呆れたような、心配そうな顔で答えてくれた。
「何を言っている?その年齢でもうボケたのか、お兄ちゃん?」
「す、すまない」
「必要なのはお兄ちゃんの魔力。
抱いてもらうのは性魔術のほうが魔力の受け渡しが容易だと言ったのはお兄ちゃんだろう?」
・・・ハイ?すみません、もう1回言ってもらえマスカ?
「まったく・・・私をお兄ちゃんなしではいられない体にしたくせに、何をトボけているんだか・・・。
さあ、早く私を抱かないか、お兄ちゃん!」
「・・・・・・」
あまりにありきたりな展開に、オレはすでに亡くなっているであろうテスの創造主に一言言ってやりたい気分になった。