モンスターハーレム 132
その姿にオレは忌々しげにつぶやいた。
せっかくさらなる成長をするところだったのに、くだらないジャマが入っちまった!
・・・まぁいい!まだ魔力タンクは大量に転がっているんだ!
また魔力を食いさえすれば、今度こそオレの本当の姿が明らかになるに違いない!
そう考えたオレは再び魔力を吸収するべく、サルスベリとメイドゴーレムたちに近づいた。
今度は封身解放状態ではなく人間の姿で抱く。
呪いは人間の姿にすることで魔物の力を封じるもののはず。
だったら人の姿で魔力を溜め込むことは可能なはず・・・!
何の確証もない机上の空論を信じ、オレは魔力を蓄えた女どもに手を伸ばす。
その時!
ドカアァァンッ!!!!
「!!??」
突如、部屋の壁が爆発して崩れていく。
突然のことに、オレは女から手を離し、すばやく臨戦態勢を取る。
もうもうと立ち込める煙の中が薄れていく。
すさまじいいくつもの殺気とともに、壁をフッ飛ばしたものの正体が明らかになった。
「死ねっ、禁忌の魔物めっ!」
姿があらわになると同時に、女騎士はいきなりオレに向かって槍を突き出す。
オレはすばやく横にかわすと、前に出て相手の手を取り・・・。
力の流れに合わせて背後へと放り投げた。
放り投げられた女騎士は悲鳴を上げる間もなく吹っ飛び、オレが入ってきたドアに激突した。
女騎士が吹っ飛ばされている間に、オレは壁の大穴に向かって単身突っ込んでいく。
せっかくの魔力タンクを傷物にされたらたまらないからだ。
単身飛び出してきた格好の獲物に、突入しようとしていた兵士や封身解放済みの魔物たちがあっという間にオレを包囲する。
短時間しか解放できない魔物たちはともかく、取り囲む兵士たちはどれも重武装で、明らかに先ほどよりも手強い相手になるであろうことが予測できた。
「ラグっ、一体何があったっ!?」
「ら、ラグさまっ!?ひゃあっ!?な、何ですかコレ!?」
大穴の向こう側でどこか聞いたような声がする。
しかし敵はオレに奴らの正体を探らせるヒマは当然与えてくれなかった。
「英雄たちの亡骸から生まれし禁忌の魔王よ!
今、この場に死に絶えるがいいっ!」
指揮官と思われる兵士の言葉を皮切りに、完全武装の弓兵が一斉に矢を放つ。
一瞬のスキを突かれたオレは、瞬時に思考を切り替えて矢の嵐の中を猛然と突っ込む。
(とっさのことだったので、2本のナイフしか拾えなかったが十分だ!)
オレはメイドゴーレムたちが落としたナイフを武器に、矢を切り落としながら指揮官に向かって猛然と突っ込む。