モンスターハーレム 120
「お前を作ったカグラを急進派とするなら、彼女は保守派。
生き残るために手段を選ばぬ考えを良しとせず、魔物の誇りをもって、最後の一兵まで戦い抜くことべきだと言って今の反対派を作った」
・・・ずいぶんとひどいことが言えるもんだな、とオレは思った。
一見立派なことを言っているようだが、生き恥をさらすくらいなら戦って死のうと言っているのだ。
逃げることや生きることはおろか、自殺することすら許さず、戦いの最中に死ねとはずいぶんとむごい話があったもんだ。
「その言葉に当初は多くの魔物たちが集まった。
しかしわずか数年も持たず反対派は急激にその数を減らしていった。
なぜだかわかるか?」
「相手がただの自殺願望者だとわかって逃げ出したんだろ?」
「40点、だな。
逃げ出したのは3〜4割ほどだ」
「・・・?じゃあ、残りはどうなったんだ?」
「死んだ」
・・・ぞわっ!
その言葉に全身鳥肌が立った。
「サーク将軍は、その実力を見るために集まった同志をふるいにかけた。
そこから落とされた連中のほとんどはそこで逃げ切れずに殺された」
・・・おいおい・・・!
仮にも志をともにした仲間だろ?
つらくて逃げ出したってんならまだしも、仲間を殺すなんてどういう神経してやがるんだよ・・・!?
「そうやって選別した魔物はさらに訓練と言うふるいにかけられ、また選別される。
そこで脱落した連中は当然リタイア。
ヤツはそうやって少数精鋭の忠実な部下を増やしていったんだ」
・・・前言撤回。そのサークってヤツは正気じゃない。
集団自殺願望があるだけでも異常だってのに、そのために仲間を殺し、選別するなんてイカれてる。
もはや異常を通り越して狂気そのものだ。
ミミたちがこんなにも怯えている理由がよくわかった。
「・・・ご高説ありがとよ。
しかし解せねえな。何でそんなに協力的なんだ?
仲間の死体すら研究材料しているお前からすれば、反対派は上得意になるんじゃねえの?」
「確かにそうだが、オマエを失うことに比べればささいなことだ」
「・・・すっかり忘れてた。
お前も十分ヤバい性格だってこと」
「ご理解いただけてうれしい限りだ。
で?いつごろ連中を潰しにいくんだ?」
「今すぐにだ。
連中が危ない連中だとわかった以上、とっとと叩き潰す」
最初は説得できないかとも思ったが、今はそんなつもりはない。
集団自殺のために仲間を殺すようなヤバい連中、放っておけるか!
オレはミミたちに出撃の支度をするように伝えようとする。
が、それよりも早くサルスベリはオレたちに声をかけた。