モンスターハーレム 118
「将軍とか言ってたから強いだろうとは思ってたが・・・。
そんなに強いのか?」
「・・・ッ、このバカ!
貴様、あの方たちがどれだけ強いか知らんのか?!」
「知るわけねえだろ!?
オレは生まれてからまだ1週間も生きていねえんだそ!?」
「私は人間だからこちら側の事情に疎いのだが・・・。
魔物のあなたたちがそれほど恐れる実力とは、正直想像できんな」
「ああもう、この2人は・・・!」
魔物の事情に疎いオレと狭霧は、なぜミミたちがそこまで驚いているのかがわからない。
いくら『力が正義』の魔物の将軍とは言え、そこまで強いモンなのか?
それがオレたちの偽らざる感想だった。
しかしオルゾスたちはその態度が気に食わないらしい。
どう説明したものかわからないご様子でやきもきしている。
「くくく・・・。ちょっと席を外している間におもしろいことになってるみたいだな、人造の魔王」
「「!?」」
そんな中、いつの間に帰ってきたのか、サルスベリとアスタナビュート率いるメイドゴーレムたちが部屋の入り口に立っていた。
メイドたちはみな一様に戦果が入っているであろう、赤茶けたボロ袋を手にしている。
中に何が入っているかは・・・考えないようにしよう。
「オマエの従者たちは驚くのに忙しいようだし、ここは1つ、私が彼女らの恐ろしさについて教えてやろうか?」
サルスベリが意地悪そうな笑みを浮かべて殊勝なことを言う。
狭霧はそれを見て気味悪そうに見ていたが、一度コイツと会っているオレにはよくわかった。
彼女がこんなにも親切なのは、きっと嫌がらせのつもりなんだろうと。
しかし敵のことをよく知らないオレたちに選択権などあるはずもなく。
結局、オレと狭霧はサルスベリのレクチャーを受けることとなった。
この愚者の迷宮における将軍の強さ、そして3人のタチの悪さまでご丁寧に。
「この愚者の迷宮では強さを測る目安がいくつか存在する。
種族や役職などはその代表的な一例だ。
そしてその中の1つに『通り名』というものがある」
「『通り名』?」
「言ってみれば、まああだ名みたいなものだ。
それを持つものは周囲から畏怖の対象としてあがめられているというわけさ」
だがオレや狭霧はまだ納得がいかない。
確かに驚く理由にはなるかもしれないが、ここまで騒ぐ理由にはならないからだ。
サルスベリもそれを悟ってか、意地悪そうなあの笑みを浮かべて説明を続ける。