PiPi's World 投稿小説

気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 90
 92
の最後へ

気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 92

「私とエルザトは元々1つだった。……いいえ、正確にはエルザトという女の人格は最初から無かったの。あなたが戦ったエルザトの体は元々私の物だった」
「……1つの体に2人がいる。……よくわかんないけど、つまり二重人格ってこと?」
「一言で言えばね。エルザトは私の心の闇。妬み、憎しみ、嫉妬、それら全てを集結させて出来た人格。大和、今のあなたでは勝ち目は無いわ」
「……どうして、僕の名前を?」
女は少しうつむき加減に、
「ごめんなさい。理由は言えないの。けれど、信じて。私はいつだって大和の味方だからね」
女が微笑んだような気がした。大和は、なぜだろう、その微笑みになんだか懐かしい記憶のようなものを感じていた。
「……じゃあね、大和。また、近いうちに」
その言葉と同時に、女の体が透き通るように消えていく。
「待ってくれ。君は……」
刹那、突然目の前が光に包まれた。あまりの眩しさに思わず目をつぶってしまう。まるで真夏の太陽が体の真ん前に現れたような感じだ。とてもじゃないが目をあけてなんかいられない。
目を閉じ続けていた大和だったが、突然左胸に痛みを感じた。鋭すぎる激痛。たまらず大和はうめき声をあげた。
「………が…はッ……」
痛みが全身を駆け巡る。と、同時に足裏の地面の感覚が消え去った。無重力状態だ。上も下もわからない。大和の体を激痛と浮遊感と恐怖が支配した。
不意に気が遠くなってきた。自分は死ぬのか?それとも気絶するだけなのか?
そんなことを考えているうちに、大和の意識はスゥッと消えていった。



「チビスケ!!」
意識を失い、極めて危険な状態の大和のところに、ようやくカルラが現れた。
「あ、カルラさん……」
大和のそばにいたガルドがカルラの方を向いた。目には涙が溢れている。
「は、早く、……一刻も早く大和様を」
「分かってる。ちょっと見せてみろ」
カルラは手際よく大和の服を破り、左胸の傷を見た。血がどくどくと大量に流れている。応急処置だけでもしておかないと大和の命が危ない。
ところが、カルラはそんな危険な状態の大和を全く治療せず、何を思ったか、突如大和の体を両手で持ち上げたではないか。
「何をしているのです!早く大和様を助けてください!」
当然のようにガルドが叫んだ。
だが、
「分かってる!だが、ここで呑気に治療してる場合じゃないんだよ」
カルラは先程のエルザトの言葉を思い出していた。
(……もし奴らの話が本当なら、ゴートから早く離れないと)
その直後、彼らの耳に巨大な爆発音が飛び込んできた。目も眩むようなまばゆい閃光とともに、凄まじい爆発が起こる。
「走れ!!」
反射的にカルラは走った。数歩遅れてガルドもその後を追う。
彼が向かったのは、ポーランの屋敷だった。屋敷に向かっている間にも、巨大な爆発音が町中に響き渡る。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す