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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 91

「………ぬぅ」
ブリガンディは不満そうな表情を浮かべながらも、大人しく命令に従った。
おもむろに後ろにジャンプ。どこかの民家の屋根に着地したのち、
「お、おぼえてやがれぇ!!」
捨て台詞を残して姿を消した。
それと同時に、カルラの背後からエルザトの気配が消える。2人の四天王は完全にこの場から姿を消していた。
しかし、悠長にしている時間はない。先程のエルザトの言葉からいくと、ゴート周辺に配置してある四天王軍が間髪置かず攻めてくるかもしれないからだ。
(………急がねぇと)
時間がない。朝日が照らすゴートの街中をカルラは走った。
(……あの仮面女が俺のところにきた。ということは、チビスケがやられた!?)
大和が相手にしたのは剣神と呼ばれるほどの女戦士エルザトだ。大和ではレベルが違いすぎる相手だ。もし負けたとしたら、ただではすまない。
(……無事でいろよ。チビスケ)
祈るような思いでカルラは走り続けた。遠くの方で、何かが爆発するような音がしたが、それさえ今のカルラの耳には届いていなかった。



「………もしかしたら、ここは夢の中かもしれないな」
川の中で大和が出した結論がそれだった。
至極単純だがそう考えたら、全部納得できる。一向に対岸にたどり着けないのも、女の声が誰なのか全く思い出せないのも、これは全て夢だったのだ。
「………それは違うよ………」
女が言った。さっきとは違う言葉だ。しかし、大和はそれをあっさりと無視した。
「……ここは霊界の入り口。三途の川と言った方がわかりやすいかしら。……覚えてない?あなたは四天王エルザトと戦い、そして負けたの」
エルザト。その名前を聞いた瞬間、大和は表情を一変させた。ここまでの経緯が一瞬で脳内をフラッシュバックする。
(……そうだ。僕はゴートの町で四天王と戦い、そしてマタが殺されたことに怒り狂い、……そう、確か心臓を……)
背後から刺された。記憶が戻ったのと同時に、大和は無意識に自分の左胸に掌を当てていた。心臓は、ちゃんと動いている。

女がクスッと小さく笑った。
「大丈夫。あなたの心臓は無事。確かにエルザトの剣はあなたの左胸を貫通した。けれど、実際は心臓のすぐ脇を通過するようにしたの。彼女は気付いていないだろうけどね」
大和は女が何を言っているのか理解出来なかった。
理解しようと考え込む大和の耳に女の無感動な声が、
「あなたはまだ死んではいけない」
「君は誰なんだ?」
思わず大和が棒読み口調で尋ねた。女は少し考え込むように黙った後、こう答えた。
「私はエルザトであって、エルザトで無い存在」



「どういう意味?」

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