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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 86

ところが、

ドガッ!!

剣に気をとられていた大和は、突如のローキックに全く反応出来なかった。膝を蹴られ、グラリとよろめく。その瞬間、

ゴッ!!

エルザトの肘打ちが大和の額に入った。大和は後ろによろめき、壁にぶつかり転倒する。
「……これで終わりだな」
エルザトは倒れ込む大和に言った。
(……ちくしょう。悔しいけど、コイツは信じられないくらい強い。もう駄目か……)
肩をすくめたエルザトが、剣を振り上げ、なめらかに振り下ろした。
(殺られる……!)
その瞬間、大和の頭の中で何かが囁いた。
(………大和……)
大和の耳に女性の声がよみがえった。この声の主を大和が間違えるわけがない。この声の主は自分の姉……橘 渚。
(え……お姉ちゃん!?)
その時、大和の全身を何かが駆け巡った。
振り下ろされるエルザトの剣がゆっくりと見える。大和はそれを一瞬でかわした。
「何!?」
エルザトが驚愕する。大和は横に擦れながら、ガルドをゆっくりと上に切り上げた。

ピシッ!!

エルザトの仮面に一筋の傷が浮かび上がった。
「この私に傷を!?」
思わず声をあげたエルザトに、再び大和が切り込んだ。上に下に、ガルドを突き出していく。
大和の怒涛の攻めをエルザトは必死に食い止めねばならなかった。それも、受けるよりかわすほうが多い。大和は正確にガルドを振り、つけ入る隙を与えなかった。



「君はなかなか強いようだな」
エルザトは心から大和を誉めた。その頃には、彼女はすでに落ち着きを取り戻していた。
「ふん、いいだろう。私も本気で相手しようではないか!!」
エルザトが人間業とは思えないほど素早く後ろに飛び退いた。
「花鳥風月……風の巻……疾風」
突如、エルザトの姿が消えた。動体視力が飛躍的に増大した大和でさえ、その動きを見ることが出来ないくらいの速さであった。
驚いた大和が辺りを見回す。その直後、

ドスッ……

何かが貫通するような音が聞こえた。それと同時に、左胸が焼けるような感覚が全身を走る。
「君は確かに強いようだ。それは認めよう」
自分の左胸を見る。するとそこから、剣の切っ先が数cm程、顔を覗かせていた。
「しかし、私と戦ったのが運の尽きだったな」
大和が吐血する。通常の人間なら、そこには心臓があるはずだ。
「さようなら、少年。出来たら……君の名前を知りたかったよ」
ゆっくりと剣が抜かれた。大和が地面に倒れる。それと同時に、背後からエルザトの気配が消えた。
「大和様!」
エルザトが消えると同時に人型となったガルドが大和を抱き抱えた。
「大和様!しっかり!大和様!」
ガルドが必死に大和の名を呼び続ける。しかし返事はない。
「大和様!大和様!大和様!」
それでもガルドは叫び続けた。戦闘しか知らない彼女には、ただ主人の名前を呼び続けることしか出来なかったからである。



「あ〜あ、終わっちまったなぁ」

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