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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 77

「………ブリガンディ。君のその岩石のような皮膚の方が、よっぽど不気味なのだがな」
「な、なにぃ!!」
ブリガンディが激昂する。彼自身、自分の岩のようにゴツゴツした皮膚には軽いコンプレックスを抱いていたのである。
「も、もういっぺん言ってみろぉ。た、ただじゃすまねぇからな」
青い顔を真っ赤にして怒るブリガンディに苦笑しながらも、エルザトは少年に再び目を向けた。
2人はゴート中心部にそびえ立つ時計塔の最上部にあるテラスにいた。ゴートの町全体が一望できるとして、有名な場所である。
「………そろそろ時間だ」
「………チッ、覚えとけよぉ」
2人を照らす月が、雲に隠れて見えなくなる。そして、再び月が顔を覗かせた時には2人の姿は影も形も無くなっていた。



月が照らす深夜の町の中を大和はあてもなく歩いていた。
「……どの店も閉店か」
店はどこも閉まっている。真夜中なのだから当たり前のことだ。
「そろそろ帰られたらどうですか?」
退屈そうな声でガルドが言った。
軽いあくびをした大和が、それに賛成しようとした。
その時であった。
「…………!!」
大和は思わず身震いした。全身が凍ったように冷たくなり、足がガクガクと震えてくる。
(………後ろに誰かいる)
それも飛びっきりヤバい奴だ。殺気だけで並の人間を殺せるくらいのプレッシャーを放っている。
「や、大和様……」
小声でガルドが言った。彼女もこの気配を感じ取ったのだろう。声が震えている。
「………くっ!!」
大和は勇気を全力で振り絞り、剣の柄に手をかけながら背後を振り返った。
「誰だ!?」
冷や汗をかきながら叫ぶ大和の前に立っていたのは、貴族のような服装をした女だった。
黒い長髪が風に靡いている。仮面を被っているため顔は分からないが、胸が膨らんでいる事から女だと予想できる。二刀流使いらしく、腰には2本の剣が左右に1本ずつさしてある。
女は何も答えない。無言のまま、黒い仮面越しに大和を見つめていた。
「……だ、誰だ!?」
大和が再び叫んだ。しかし、女は答えない。無言のまま右手がゆっくりと剣に向かって動く。
そして女の右手が剣の柄にかかったその瞬間、
ヒュンッ!!
女が剣を抜いた。鋭い横薙ぎである。しかし、その場で剣を振っても、距離が離れている大和に当たるはずがない。
だが、
ヒュンッ!
風を切る音と同時に、大和の頬にうっすらと血の糸が引かれた。
呆然と立ち尽くす大和に女は言った。
「……紋章を渡してもらおうか」



「……紋章。一体何を」
「惚けるな。太陽の紋章。お前が持っているのだろう。リジム鉱山で見つけたはずだ。早く渡してもらおうか」
冷たい静けさを伴った平坦な声。その声には一片の感情も感じられなかった。
大和は女が何を言っているのか分からなかった。彼が鉱山で見つけた物と言えば、リクゥにプライム石、そして守護神のマタぐらいである。紋章なんて見つけた覚えはない。

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