気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 63
(……殺られる!!)大和は目をギュッと閉じた。目の前の死の恐怖から逃れようとした。
その時だった。
ドガッ!!
鈍い音がした。大和を食い殺そうとしたアイアンコブラの頭部を誰かが殴り付けた時の音である。
「無事か、チビスケ!」
続けざまに男の声がした。この声の主を大和は知っている。
「カルラさん!」
目を開けた大和の前に立っていたのは、ゴートで大和達の帰りを待っていたはずのカルラだった。
「一体どうしてここに?」
「お前のダチが呼んだんだよ。ほれ、あそこ…」
カルラが指差した方を見ると、エドウィンとサリナが壁に叩きつけられたリクゥを助けている最中だった。
「あの2人が、俺の昼寝の最中に部屋に飛び込んできたんだ。事情を聞いて直ぐに駆け付けたってわけ」
「…エドウィン…サリナ」
大和は2人の親友に心から礼を言いたかった。しかし、状況はそれを許そうとはしない。
フシューー!!
雄叫びをあげながらアイアンコブラは、頭をブンブン振り回しながら、乱入者を睨み付けた。
「アイアンコブラか。確か、絶滅したんじゃなかったか?」
相手を威嚇するアイアンコブラを見ながらカルラが言った。
「今の俺の攻撃も全然効いてないのか。大した皮膚してるじゃねえか、この爬虫類野郎」
「誉めてる場合じゃないですよ。早く何とかしないと」
「慌てるなよ、チビスケ。俺はアイアンコブラの弱点を知ってんだからな」
何でもない事のようにカルラが言った。
「ほれ、あの蛇野郎の頭部を見てみろよ。額の部分が赤く光ってるだろ?」
見ると、確かにアイアンコブラの額の一部、握り拳ぐらいの範囲だけが赤く光ってる。
「あれが、どうしたっていうんですか?」
「アイアンコブラの弱点だ。鋼鉄の皮膚を持つアイアンコブラのたった1つの弱点らしい。俺がガキの頃読んだ古文書に書いてあった事だよ」
大和がガルドを構えながらアイアンコブラに向き直った。僅かだが、勝機が見えた。
「もっとも、あの大きさだと範囲は5センチくらい、当てるのは骨が折れるぜ。オマケにこのアイアンコブラは古文書に書かれていたコブラとは、若干違うみたいだな。突然変異か?」
その時「痛い!!」大人の女性の声だ。「ごめんなさい条件反射で…。眠りから覚めたばかりで…」戦う気は無いらしい。カルラも構えを解いている。「蛇が言葉を話すの?」「これは戦闘時の姿で…」すると凜とした美しく清楚な大人の女性がいた。長い黒髪で知的で上品な顔、スタイルはガルドを凌ぎ、胸はレイより大きい。清楚な中に艶やかな魅力があった。「やっと会えました大和様。」するとカルアが呟いた。「伝説の王地上に現れる時、また二人の守護神も復活する。」「はい。守護神の一人マタと申します。」大和に新たな仲間が加わった。