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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 59

「なんだよ、いきなりどうしたのさ?」
「うるさい!調子のいいこと言いやがって。……僕はその家族に捨てられたんだ!ただ、炎が操れるって事だけでな!」
大声で怒鳴るリクゥの目には涙が溜まっていた。
「それ、どういう意味なの?」
リクゥの言っている事がさっぱり分からない大和。しかしリクゥは何も答えようとしない。
「彼……リクゥはエルフ出身なのですよ、大和様」
本人の代わりにガルドが説明を始めた。
「………エルフ?」
「エルフは自然と共存して生きる種族。彼らは水と緑の属性は操れるのですが、それ以外、特に破壊の性質を持つ火の属性は絶対に使用することは出来ないのです。長いエルフの歴史の中で例外はないはずだったのですが……」
「リクゥはその例外だったのか」
「はい。結果、彼は忌み子として扱われ仲間内から酷いいじめや虐待を受け、エルフの里を追放されたそうです。その後各地を放浪している時に今の八星将軍が長、セフィリアに見い出され現在に至ると言う事だそうです」
「そうだったのか……」
昔の事を思い出したのか、涙を流しているリクゥを見ながら大和が呟いた。
(………僕と同じだ)
彼自身も、その女の子のような容姿を理由に同級生からいじめを受けていた。毎日が辛かったが、姉の渚や母はそんな自分をいつも庇い励まし、そして慰めてくれた。
しかしリクゥには、そんな癒しすらどこにも存在しなかったのだ。彼がどんなに辛い日々を送っていたか、大和には分かるはずもなかろう。
「リクゥ。これは慰めにしかならないけど…君の気持ちは、僕には分かるよ」
途端にリクゥの瞳がカッと開かれた。凄まじい形相で大和を睨み付ける。
「お前に何が分かるんだよ!何も知らないくせに。僕がどんな酷い目にあったか、どんなに哀しい思いだったか、たかが伝説の王の証を持ってるっていうだけで周りからチヤホヤされているだけのお前なんかに僕の気持ちが」
「分かるさ!!」
大和が叫んだ。リクゥがハッと息を呑む。
「……僕には分かるんだよ。君の悲しみが」
大和がリクゥの瞳を見つめながら呟いた。
「僕も同じだったから……」



大和は自分の過去を初めて他人に話し始めた。
自分が別の世界からやってきたこと、そこでいじめを苦に自殺したこと、その直後自分がこの世界にいたこと、など信じられない出来事を一つ一つゆっくりと話していく。
リクゥもガルドも話に割り込むことなく、真剣に大和に耳を傾けている。
そしてしばらくして話が終わった。
「………………」
「………………」
誰も口を開こうとはしない。
「……仮にその話が真実であるとしましょう。1つ分からないのですが、なぜ大和様はこの世界に来れたのですか?」

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