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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 57

その時だった。2人の耳にあの鳴き声が再び飛び込んできたのである。

フシューー……

タイヤから空気が漏れているような音に2人がほぼ同時に反応し慌てて辺りを見回す。しかしアイアンコブラの姿はどこにも見えない。
「……………」
鳴き声は一回だけだったが喧嘩する2人を黙らせるには十分だった。大和とリクゥが胸ぐらを掴んだままジッと黙っていると、
「大和様、それからリクゥ。どうでしょうか、ここは一度互いに協力してアイアンコブラと戦ってみては?」
人形に変身したガルドが、2人の肩に手をソッと添えながら言った。
「何!?」「何!?」
二人が素っ頓狂な声をあげる。
「ガルド。本気で言ってるの?」
「はい。仮にあなた方が協力せずに個別に戦ったとしましょう。おそらくは両方ともアイアンコブラに倒される可能性が高いです。何しろリクゥの魔法攻撃でさえもびくともしないのですから。ですが2人が協力して戦えば、あるいは勝てるかもしれません」
ガルドの説得は確かにごもっともであった。今のままではあの鋼鉄爬虫類に敗北する可能性の方が極めて高い。しかし、もし2人が手を組めばもしかしたらもしかするかもしれない。
「だけど……」
大和が口ごもる。
「大和様。確かにリクゥと組むのは抵抗があるかもしれませんが、今は生き残ることだけを考えてください。過去の遺恨にばかり捕らわれていてはいけませんよ」
ルカジマでの一件を忘れられない大和にガルドが言った。
「………うん」大和がしぶしぶ頷く。
一方のリクゥなのだが、こちらもタッグを組むのに抵抗があるようだ。彼も彼なりにルカジマでの事を気にしているのである。
「本当に……協力しなきゃいけないのかよ?」
「あのアイアンコブラの強さは、実際戦ったあなたが一番ご存知かと思いますが?」
「………………」
リクゥが黙り込む。それに合わせるかのようにガルドも口を閉ざした。沈黙の空気が3人の周囲を支配する。
それから数分後、最初に口を開いたのは大和だった。
「わかったよ。リクゥ、ここはお互いに協力しよう。君との決着をつけるのは、ここを脱出してからだ」
いかにもなげやりな感じで言った。でも仕方がない。他に手が無いのである。
「………少しの間だけだからな」
アヒルのように口をとがらせながらリクゥも同意した。
それを見たガルドがホッと胸を撫で下ろす。

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