気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 54
「仕方がない。なんか癪に触るけど……行くよ、ガルド!」
大和は、親友を助けるために自らも突撃することにした。
「ハァッ!」
エドウィンの気合いの入った一撃が、アイアンコブラの胴体に向かって振り下ろされた。しかし、
カキンッ!!
短剣は爬虫類の皮膚に傷一つつけることなく弾き返される。
「チッ、なんて硬さだよ。コイツは」
エドウィンが舌打ちをした。それを見たサリナが、
「それならアタシが……ハァッ!」
呪文を唱え、杖の先から小さい炎の玉を放つ。しかし、これもアイアンコブラの前では無に等しかった。
一方で、
「な、なんだよ。おまえらは?」
思わぬ助っ人の登場にリクゥは驚きを隠せない。おまけに、
「お前……橘 大和!何でお前がここに?」大和をみて目を見開く。
「それはこっちのセリフだよ」
それだけ言うと、大和も隙をついてアイアンコブラに向かってガルドを振り下ろした。
(エドウィンの短剣やサリナの魔法がダメでも、魔法剣ならどうだ!)
しかし、
キンッ!!
鋭い音と同時に、ガルドが弾き返される。
「大和様。このアイアンコブラは異常です。通常のアイアンコブラの数倍の硬さを持っていると考えられます」
「どういうことさ?」
「いくらなんでも、魔法剣である私の攻撃まで効かないのは変です。おそらく何らかの突然変異をおこしていると考えられます」
「そうなの。やっぱり生き残りは違うね」
「気楽に言わないで下さい。……大和様、ここは撤退が上策かと」
「撤退か……」
大和が目の前を暴れまわるアイアンコブラを見上げながら言った。地盤が弱いせいか、先程からコブラが暴れる度に天井から小さい岩などがパラパラと降ってきている。
「……仕方がないか。プライム石は諦めるしかないね。……エドウィン、サリナ、リクゥ、ここは退こう!」
大和が3人に向かって叫んだ。
「撤退するのかよ。……でも、仕方がないか」
「そうと決まったら、早いとこ逃げるわよ」
エドウィンとサリナが、先程自分達が通ってきた通路に向かって脱兎の如く走り出した。ところが、
「撤退?ふざけんなよ。僕はまだ負けてないんだからな」
リクゥはそう吐き捨てると、再びアイアンコブラに向かって戦いを挑んだ。
「砕けろ!フレイムキャノン!」
リクゥの手から大砲の弾のように炎が発射された。先程サリナが放った炎の数倍の威力は期待できる。
ドガンッ!!
アイアンコブラに当たった瞬間、凄まじい破壊音が辺りに響いた。これならあの鋼鉄爬虫類もただではすまないと思っていたのだが、
フシューー!!!!
アイアンコブラは無傷だった。それだけなら良かったのだが、今の一撃でコブラの堪忍袋の緒が切れたらしい。
フシャー!!!!
鳴き声と共に手当たり次第に壁や地面を叩き、暴れ狂うアイアンコブラ。