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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 38

カルラが見ている草むらも、その内の1つである。
草むらが、ガサリと鳴った。
大和の手がガルドの柄にかかる。
(……何だ?)
大和がそう思ったその時、
「ガアアーーー!」
それに答えるかのように草むらから魔物が飛び出してきた。
「ウワァ!」
大和がガルドを抜いた。エドウィンとサリナもそれぞれ武器を構える。
現れた魔物はフィアスウルフだった。高い瞬発力と鋭い牙と爪を持ち合わせる、残忍な狼である。
「大和様、気をつけてください。フィアスウルフは群れで行動することが多い事で有名です。必ず何処かに仲間がいます!」
ガルドが注意を促すと、
「ガアアーーー」
「グルルル……」
最初に現れたフィアスウルフの背後から、次々と、計7匹のフィアスウルフが姿を現した。最初のウルフと合わせると8匹になる。
大和の頬を一筋の汗が流れた。何しろ敵はベテランの旅人でさえ苦戦すると言われている獰猛な魔物である。下手をすれば、ここで旅が終わるかもしれない。
ところが、
「おい、チビスケ。お前、魔法剣なんて珍しいの持ってんのか?今どきプレミア物だぜ」
などと、目の前の魔物を完全に無視し、大和が持っているガルドに目を奪われている男がいた。
カルラである。
「ガアアアーーー」
すると、突然1匹のフィアスウルフがカルラに向かって飛び掛かってきた。狙いはカルラの脇腹らしい。
「危ない!」
思わず大和が叫んだ。フィアスウルフの鋭い牙で噛みつかれたら致命傷は免れまい。
一方のカルラはポケットに両手を突っ込んだまま避けようともしない。
そして、ウルフの牙がカルラの脇腹に突き刺さろうとしたその瞬間、
「遅いぜ!」
カルラが動いた。動いたと言っても、彼はほんの少し体を横にずらしただけである。
だが、それは完璧な回避であった。敵の動きを完全に見切っていなければ出来ない事である。
しかし、カルラの動きはまだ終わっていなかった。
ヒュンッ!
風を切る音と共に、カルラの右足がフィアスウルフの側頭部を襲った。ゴキッと鈍い音を立てながらウルフが吹っ飛ぶ。
吹っ飛んだウルフは地面を派手に転がったのち、ピクリとも動かなくなった。
「……すごい」
大和は思わず感嘆の声をあげた。エドウィンとサリナも目を見開いている。
「さて、次は……」
カルラが視線を戻す。それと、同時に2匹のウルフが彼に向かって襲いかかった。
2匹のフィアスウルフは左右に分かれて、カルラに向かってきた。彼を挟み撃ちするつもりらしい。
「ヘッ、少しは考えてるみたいだが、……所詮は獣だな!」
2匹のウルフがカルラに飛び掛かる直前、彼はそう言いながら地面を思いっきり殴り付けた。
ドガンッ!!
土が舞い上がり、土埃がカルラの姿をかき消す。驚いた2匹のウルフがその場で立ち止まった。
その瞬間、それを待っていたかのように、2本の腕が突然土埃の中からヌッと現れると、ウルフ達の首をガッチリと掴んだ。

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