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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 244

そのゴルバとクリムゾンを隣に座るティナは苦々しい思いで睨み付けていた。理由を聞けば、あの2人とは並々ならぬ因縁があるらしい。
「数年前、一度だけ会ったことがある」
ティナの話しによると、アルフレドと同盟国であるサンクキングダムとの間には、互いに国境を越えて兵を出さないという不可侵条約がなされていた。ところが数年前から、サンクキングダムの兵が度々国境を越えては、何かと揉め事を起こしていたのである。
「理由は、自領内を荒らしていた盗賊団がアルフレド領内に逃げ込んだから、とかいったものだった。最初は同盟国とのトラブルを避けるため見てみぬ振りをしていたのだが、それが何回か続いたものでな。ある時、とうとうオウラン王がサンクキングダムに詰問してくるよう命じたのだ。その時の使者が、当時魔法副将軍だった私と、騎馬副将軍のマックスだった。私達はまず侵攻してきた兵達の元へ向かったのだが」
「その兵達を率いていたのが、あの2人というわけか……」
ティナがコクンと頷く。
「調査したところ確かに盗賊団は侵入していた。だが詳しく調べたところ、どうも様子がおかしい。調べれば調べるほど、まるでわざと盗賊団が私達の領土に逃げ込むように仕向けた感じだ。サンクキングダム軍の討伐もやけに手ぬるかった」
「で、それについて彼らは?」
「当然否定してきた。私達がついた時には、盗賊団は全員捕らえられ処刑されていたしな」
「……………」
アーカートが話の内容を頭の中で整理する。
まずティナの言う通り、その盗賊団がアルフレド領内に逃げ込むよう仕向けられたのは間違いない。おそらくその気になればいつでも全滅させることが出来たのだろう。アルフレドの調査隊が到着する直前に賊を一人残らず壊滅させた事は、あまりにもタイミングがよすぎる。
盗賊団の討伐を理由に他国の領土に入り込む。そして賊徒と本気で戦っているように見せかけて裏では諜報活動を行うという、正当な理由に偽装した策謀に、アーカートは不本意ながらも半ば感心していた。
と同時に、例え賊徒であっても利用価値があるものは骨の髄まで利用するその手法には、内心恐れを抱かずにはいられなかった。冷徹な奸計を張り巡らすサンクキングダムの軍部最高指揮官に、アーカートは思わず身震いする。
(あの男にとっては、我らも賊徒も同じ。利用価値があるかないかだけだ。価値が無くなれば、即捨てられることになりかねん。………やはり同盟は断るべきだろうか。だが、それではルカジマを奪還する悲願はどうなる!)
その時、ガチャリと扉が開いた。
「遅参申し訳ない」

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