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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 235

すると、そんな大和の考えを読んだのか、
「大和さん。こっちです」
突然ナタリーが大和の腕を引っ張り歩き出した。
「え……ちょっと、ナタリー!?」
彼女は大和の服の袖を掴んだまま、城の中を迷うことなく進んでいく。
5分後。2人は城の隅の方にあるあまり使われてなさそうな部屋に辿り着いた。北側にあるせいか、薄暗くひんやりとした空気が漂っていた。
「ここなら大丈夫ですよ」
そう言うと、ナタリーはノックをすることもなく部屋に入っていく。大和も彼女に続いた。
部屋の中は至るところにベッドやテーブル、タンスが置いてある、いわゆる家財倉庫のようだった。一応掃除はしてあるようだが、部屋の隅には埃や蜘蛛の巣が目立ち、あまりきちんとやっているようには見えなかった。それほど重要な部屋ではないのだろう。
「ここなら誰も来ませんよ」
ナタリーはベッドに腰掛けると、体をもじもじさせながらそう呟いた。
その隣に大和が腰を降ろす。ベッドは古いタイプなのか大分傷んではいたが、まだまだ使えそうだ。
「確かに、この部屋なら誰も来なさそうだけど……」
怪訝そうな顔の大和にナタリーが問いかける。
「どうかしましたか?」
「えっ?いや、その、……随分詳しいなぁ、と思ってね。今だって、昨日初めてこの城に来たのに、全然迷うことなくここに着いたし」
率直な疑問だった。この城はサンクキングダムの本拠地だけあって、かなり複雑な構造になっている。ましてや、前日に来たばかりの人間が一昼夜で暗記できるほど、この城は簡単な造りではない。
一応、随所に見取り図は飾られているが、ナタリーはそれすらも見ていなかった。
そしてナタリーの思わぬ答え。
「だって、ここは私の家ですもの。」
何か聞き違えたかと思った大和は間抜けな声を出した。
「え?」
「そろそろ・・・・・・・・私の正体を明かす時が来たようですね。私はピースクラフト王家の第四王女、ナタリー・ピースクラフトです。もっとも、ルカジマの方でこの事を知っているのは亡くなられたソフィー・ブリス前園長と臨時学園長のアーカート・ブリス先生などごく数人の方々だけなのですけれど・・・・・・。」
「それって・・・君がここのお姫様で、ルカジマに留学してたってこと?」
大和は驚いて尋ねた。まだ得心がいかないようだ。
「はい・・・・。身の安全のため、ルカジマでは正体は隠して、サンクキングダムのとある村の出身のただのナタリーということにしていました。私の母は陛下に見染められた単なる村娘でしたし、母に村娘の振舞いや常識を学べば「単なる村娘が魔法の才能を見いだされて入学した」ことにできましたから。私は正室の子ではありませんから、王太子ヴェイン兄さまを始め王妃様がお産みになった方々より王位継承順位は下なのですけどね。」

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