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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 233

大和は溜め息をつきながら立ち上がると、自らに背を向けながら話し続けるヴェインに一礼する。
「失礼します」
これ以上わけのわからない話を黙って聞き続けるのは、いい加減にうんざりだった。シルファール教とかエデン教とかエデンの心だとか、『今』の大和には全く関係のない事ばかりである。知勇兼備の名将と会話が出来たのは嬉しかったが、結局はヴェインが何を言いたいのか分からずじまいだった。
大和は再度一礼すると、後ろを振り返ることなく部屋を出ていった。


部屋に残されたヴェインは、テーブルの片付けにかかった。
「実に興味深い少年だとは思わないか?」
部屋に独りしかいないにも関わらず、ヴェインは誰かに尋ねるように言葉を発した。
「橘 大和。底知れぬ力を秘めているが、彼自身は精神的に不安定すぎる。場合によっては世界を崩壊させるやもしれないな」
すると、その問いに対する返事が何処からともなく聞こえてきた。
「それを承知の上で、ここに呼んだのではないのかしら?」
声がしたのはヴェインが装備している一振りの剣からであった。魔法剣ジャスティス。騎士王剣の異名を持つ、この世に4本ある伝説の魔法剣のうちの1つである。
「少なくとも、1つの宗教の視点からしかものを見られないような視野の狭さはないようだな。だが、信ずる物がない者は弱い。といって深く信じる物あれば、それが砕けた時には脆いものだ。」
「もし貴方に出会う前にあの少年に出会っていたら今頃私の主はあの少年だったかもしれないわね。」
ヴェインはニヤリと笑って、言った。
「なるほどな。お前がそこまで評価するのなら私の眼は曇っていないのだろう。あとは暴走されないように気を配らねばな・・・・・・。」
 
 
さて、部屋を出た大和は、悩みを振り払うように速足で歩いていた。
 エデン・・・キリウス・シルファール・・・
大和は魔法という科学で説明できないものをあっさりと受け入れる柔軟性を持っていた。「科学が全てじゃない。科学の外に存在するものもあるのだ。科学ですべてを説明するのは現世をキリスト教なりイスラム教なりですべて解釈しようとするくらい無謀で野蛮なことだ。」という考え方ができる人物であり、それだけにエデン教もシルファール教も、突き放して見ることができた。
そんな大和だが、いまはエデン教やシルファール教のことが頭にこびり付いたようになり、新たな悩みの種となっていた。
魔法剣ガルドはなぜか黙り込んでいた。
そして廊下をしばらく早足で歩いていた。ある十字角に差し掛かると・・。
「あいてっ!」
「きゃっ!」
何かに当たった衝撃、そして可愛い悲鳴。
「ううっ?」
大和が見てみると、右前方に茶髪に三つ編みの髪型をした、眼鏡をかけたガリ勉タイプの少女が尻餅をついていた。
「ナタリー?!大丈夫?」
「う、うん。私でしたら、大丈夫です・・・。」
おどおどした感じで答えるナタリー。内気さは相変わらずのようだ。

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