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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜
官能リレー小説 - ファンタジー系

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気弱な少年とセクシーな仲間達〜第2章〜 232

現在でも西方大陸−オリビアン=シルファール王国初代国王・オリビア1世の名からオリビアン大陸と呼ばれる−の民や、アルフレドなどのシルファール教信者の間では、初代女王オリビアとその妹で姉の治世を支えたサリナの2人の名前は女性名としてありふれた名前である。王国では国王はシルファール教の法王を兼ねるものとされ、当然ながらシルファール教が国教となっている。

アルフレドのあるこの大陸でシルファール教が大っぴらに信仰されるようになったのは、約200年前のことである。
この時期の王たちは開明的な人物が多く、昔のような大弾圧は行われなくなった。隠れ潜みながら信仰を守り続けたシルファール教徒と、オリビアンから来た宣教師たちによってようやく興隆を見ることになった。こうして人間側ではエデン教と並ぶ2大宗教となっていた。魔族たちには魔族の宗教があるのだが・・・・。
 
 
だが、大和にはある意味でどうでもよい話だった。シルファール教の成り立ちやオリビアン=シルファール王国のことはメリツに来てから書物を読んで知っていたが、自分が異世界へやってきたのは、神の御業か、悪魔の所業なのかもわからなかったしその点は気になったが、それ以外のことについては、こう思っていた。
 
 宗教はモルヒネのようなもの。つまりは現世に懸命に生きる人々の心の痛み止めなのだ。
 
「僕には関係のない話ですよ。エデン教とシルファール教、どちらが正しいのかなんて僕には分かりません。どうでもいい事ですから」
口を開いているうちに、大和は異常なまでの蒸し暑さを感じてきた。息苦しいと表現した方がよいのか。とにかく一刻も早く、彼はこの部屋から立ち去りたかった。
「すみませんが用事があるので、これで失礼します。紅茶とお菓子、ありがとうございました」
そう言って席を立ち上がろうとした大和に、ヴェインは窓の外に広がる虚空を見据えたまま、こう呟いた。
「エデンの心……」


エデンの心。
興味がないと自分で言っておきながら、大和は一瞬、その言葉の意味を考えてしまっていた。それからばつが悪そうな顔をしながら、
(馬鹿馬鹿しい。僕には関係ない内容だ)
と、自分に言い聞かせていた。
そんな大和の心情を読んでいるかのように、ヴェインは微笑を浮かべながら、さらに言葉を続ける。
「森羅万象を司り、世界中のありとあらゆる全ての答えが集結する場所。それがエデンの心だ。自らが作り出した世界に絶望した、創造主エデンが眠る場所でもあるらしい」

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